クーペという趣味性とスポーティさが要求されるタイプの車において、AMGの特徴を加えることはとても大きなメリットと言えますよね。AMGが売り出すのは「スポーティさ」と「趣味性」。
そこから、クーペの需要や特徴をさらに強化する形になっていて、AMGとクーペの二つの特徴の親和性が高いです。
ベンツAMGクーペは、メルセデス特有の安全性や高級感を保ちながら、スポーティでワクワクする車と言えます。
そんなベンツAMGクーペには、たくさんのグレードがあるんです。複数タイプが用意されていますし、同じタイプでも複数のグレードがあって、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。違いもよくわからないというのが本音かと思います。
そこで、各グレードの特徴や魅力を紹介しましょう。
メルセデス・ベンツ AMG クーペ グレード表
グレード名 | 価格 |
---|---|
CLA45 4MATIC | 7,730,000円 |
C43 4MATIC Coupe | 9,050,000円 |
C63 Coupe | 12,380,000円 |
C63 S Coupe | 13,480,000円 |
GT | 16,500,000円 |
CLS63 S | 19,050,000円 |
CLS63 S 4MATIC | 19,220,000円 |
GT S | 19,300,000円 |
S63 4MATUC Coupe | 24,970,000円 |
S65 Coupe | 32,460,000円 |
AMGクーペには、以上の十個のグレードが設定されています。グレード数が多いため、最低価格と最高価格の差も約2470万円と大きいです。二番目に価格が高いグレードが約2500万円なので、そう考えるとこの価格差はあまりに莫大ですよね。
そもそもS63と比べてS65があまりにも高いように思えます。同じクラスなのに、どうしてここまで価格が違うのか気になりますよね。
そういったことを含めて、これから各グレードの特徴や違いを徹底的に見ていきます。
各グレードの特徴や違いを解説
各グレードの価格を見てきましたが、価格から憶測できることはほんのわずかですし、何かを推察したところでそれはやはり憶測に過ぎません。実際に各グレードのデザインや性能・装備を見ていかなければ、それぞれの特徴は理解できないでしょう。
そこで、装備は後ほど詳しく比較するとして、まず見た目や性能といった特徴を簡単に紹介します。
CLA 45 4MATIC
見た目はとてもAMGらしいデザインをしています。どことなくダイオウグソクムシを思わせる見た目をしているような……? フロントスポイラーにシルバースポークが入っていて、ちょっとイカツイですよね。
そんなCLA45は、世界最強の4気筒エンジンを背負った、只者ではない風格を感じさせるグレードです。「4気筒だから」「最安価だから」と甘く見るなかれ。CLA45のエンジンは、280kW/6,000rpmの最高出力と475N・m/2,250~5,000rpmの最大トルクを発揮できるハイパワーマシンなんです!
エンジンを始動した瞬間に鳴り響くエグゾーストサウンドは迫力満点。野太い音がしばらく鳴り響き、「これから走らせるんだ」という期待感を煽ります。
高速道路を走っているときの踏み込みに応じてしっかり加速してくれる感覚は、とても楽しいです。高回転型のエンジンなので鋭い加速を得るために踏み込まなければならないのですが、だからこそ走っていて一体感があるのではないでしょうか。
より大きな力を発揮したいときって、人間は力みますよね。それがアクセルの踏み込みに現れるわけですが、こちらが力むと同時に車も力んでくれるというのは車と人が一体になった心地よさが感じられます。
最安価だし、4気筒エンジンだし、完全実用向きかと思いきや高速走行もしっかり楽しめる優れた車です。
他と比べて安いのは、CLAクラスの装備が他よりも貧弱なためでしょう。
C 43 4MATIC Coupe
フロントスポイラーのスポークが消え、大人しい印象になりました。
エンジンはV型6気筒という大きめのものを搭載していて、この性能がとても良いんです。最高出力は270kW/5,500~6,000rpmで最大トルクは520N・m/2,000~4,200rpmとなっています。最高出力自体はCLA45のほうが高いですが、トルクが大きくパワフルなのが魅力的です。
ブーストのレスポンスがとても鋭く、アクセルを踏んだ瞬間から体にGがかかります。
速度を上げるにつれてギアをチェンジしていくと、変速がとても滑らかなことに気がつくんですよ。マニュアル操作もできますが、このモードにするとステアリングの重みが増して高速域での安定した操作がしやすくなります。
パワフルなエンジンで安定してスポーティな走りができるだけでなく、その運転を支援するモードまで備わっている、とてもよくできたクーペです。
ただ、エグゾーストサウンドについては賛否両論あります。
勇ましい音がするのですが、重厚感がありません。6気筒なのだから音は自然と重層的になるはずですが、そのような感じはしないんですよね。4気筒のCLA45のサウンドのほうが胸躍り、痺れるような重厚感がありました。
その分装備は当然CLA45よりよくなっていますし、サスペンションなど各所調整もC43のほうが上手です。
C 63 Coupe
迫力があるものの、落ち着いた大人の色気を感じさせるしっとりとしたフロントビューが特徴の車です。クーペらしいスポーティさは、リアビューを見れば感じられます。
左右両サイドに取り付けられたデュアルマフラーが、とてもかっこいいですよね。デュアルというところに、男たちは痺れます。
そんな大人の色気とスポーティさの二面性を持ったC63のエンジンは、V型8気筒エンジン。最高出力350kW/5,500~6,250rpm、最大トルク650N・m/1,750~4,500rpmという高性能を誇っているんです。
驚くべきは最大トルクですよね。1,750rpmから大きなトルクが発生するということは、発進時からすでに図太いトルクを感じることができるということです。市街地であまり踏み込むことができずとも、しっかりと車を引っ張っていってくれる頼もしさを感じます。
また、シートがホールド性重視のスポーツ仕様なのがありがたいところです。AMGならではと言えるカーボンパネルや黒を基調とした高級感あるインパネが目に入るところも、魅力的。
しかし、やはりC63は走らせてこそ魅力を最大限に理解することができるんです。
エンジンを開始した瞬間、パワフルで痛快なエンジン音が鳴り響く。アクセルを踏み込んでいくと大きなトルクに引っ張られるようにして速度もグイグイと伸びていき、エンジン回転数が上がるにつれてサウンドも盛り上がっていくんです。
さらに、コーナリング時にもパワーを逃がさないようにする工夫がされているところもとても良い。C43と比べても足回りがスポーティモデル用に強化されているなと感じるところが、素晴らしいです。
AMGクーペとしてはまだ趣味性に吹っ切れておらず実用重視な面がある装備や仕様にも関わらず、運転していてこれだけ高揚感を得ることができるというところがC63の大きな魅力と言えるでしょう。
C 63 S Coupe
実利を考えた冒険家、それがC63 Sです。
冒険家というと実利などあまり考えていないように思えますよね。自らの冒険心を満たすのが本分であり、実利は副産物的なものだというのが多くの冒険家のイメージではないでしょうか。ただ、C63 Sは違います。
実用性の高い装備を多数備えた「実用に向いた車」でありながら、ドライバーの冒険心を煽る面白さを持っているんです。
エンジンはC63と同じV型8気筒ですが、最高出力・最大トルク共に少し向上しています。そんなC63 Sの最高出力は375kW/5,500~6,250rpmで、最大トルクは700N・m/1,750~4,500rpmです。何パーセントか上昇していますよね。
高回転型のエンジンですが、回転数の上がりがとてもスムーズなのでストレスなく加速をすることができます。ターボのラグはほとんどないので、踏み込んだ瞬間にグンッと加速してくれるのが気持ちいいです。
過給エンジンにはラグがつきものかと思いきや、良いエンジンだとそういった弱点も補っているんだなと感心させられます。
フルスロットルで走ってみると、恐ろしいほどに速い。思い切りアクセルを踏み込めば、一瞬で日本では許されないような速度になってしまいます。
高速道路で思い切り加速を楽しんで走りたいという方にはとても良いのですが、速度を上げすぎないように自制しないと大変なことになるでしょう。
こんな面白く速いスピードを出せる車だから扱いにくそうだと感じる方が多いかと思いますが、これがとても扱いやすいんですよ。S63同様足回りが強化されていますし、エンジンマウントやLSDの変更によってS63よりも扱いやすくなっています。
そして何より、安定志向なハンドリングの味付けがとても良い。
スピードが出るのが「冒険」で、こういった安定志向な部分が「実利」なんですね。
走ること自体が面白く、遊びに駆り出せるだけでなくてCクラスならではの「普通に普段から乗れる」というところがC63の特徴をより良く色づけています。
CLS 63 S
スマートなカッコ良さを感じるエクステリアが特徴なグレードです。フロントスポイラーが縦に小さく横に大きな形となっている所や、ヘッドライトの形が若干狐目ぽくなっているところがスマート。クーペの流線形ボディと良く調和しています。
こういう見た目は、イカツイとも言えますよね。
特にCLS63 Sは性能がとてもイカツイので、見た目もスマートよりイカツイ感じに見えるかもしれません。そのイカツイ性能を発揮するのはV型8気筒エンジンです。
最高出力が430kW/5,500rpmで、最大トルクは800N・m/1,750~5,000rpmという……モンスター感が溢れ出ています。最大トルク800N・m! ここまで来るともう「ああ、スッキリした数字だよね」とか「大きいねえ」という漠然とした感想しか出てきませんよねえ。
一体どれほどのパワーを発揮するのか、フルパワーは想像もつきません。日本の公道ではまずフルパワーを体感することはできないでしょう。
余裕のあるエンジンで余裕のあるドライブを悠々と楽しめるくらいしか、実用面でのメリットは無いように思えます。悪路で無ければどこでも走れるのは良いのですが、それにしても「ここまでするか!?」と言いたくなりますよね。
限りなくSクラスに近いCLSクラスだから装備も良いものが揃っていて趣味性が強くなっているので、もう完全に「走りを遊ぶ車」です。
CLS 63 AMG S 4MATIC
簡単に言えば、CLS63 Sの4輪駆動バージョンです。エンジン性能などは変わりませんが、2輪駆動から4輪駆動に変更したことによって走破力がアップしています。CLS63 Sの性能と4輪駆動の走破力を合わせたら、怖いものなしですよね。本当にどこでも、どこまででも進めてしまいます。
S 63 4MATIC Coupe
ラグジュアリーで静粛性の高い上品な側面を持ちながらも、パワフルな性能を誇るという二つの側面を併せ持った車です。シルバー感やメタリック感を極力抑えているエクステリアは、上品そのもの。CLSはイカツイ車でしたが、そのイカツサはほとんど感じられません。
インテリアもまた大人の上品で上質な空間が広がっています。ゆったりくつろぎながら運転を楽しむことができるインテリアで、各種快適機能も豊富に取り付けられていますよ。
性能は最高出力が430kW/5,500rpmで最大トルクが900N・m/2,250~3,750rpmという化け物じみた性能をしていますが、ガンガン加速して遊ぶというよりも大きなパワーを利用してゆったり走りたくなるところが不思議です。
これまでのグレードと違って、スポーティさよりも上品さや快適性が強く押し出されているからでしょうか。
ただ、パワーは大きいのですが峠道を攻めるのにはやや不向きです。足回りやボディの重さ・ステアリングの仕様などさまざまな面を総合すると、やはりグランド・ツーリング向け。快適性重視の車なので、スポーツカーチックとは言えないでしょう。
スポーツカーのような車というのであれば、C63 SやCLS63 Sのほうが当てはまります。
S 65 Coupe
V型12気筒エンジンを搭載しているのが特徴的なグレードです。
驚くほどに大きなエンジンの最高出力は463kW/4,800~5,400rpm、最大トルクは1,000N・m/2,300~4,300rpmとなっています。ベンツSクラス各タイプのAMG最高グレードにはお馴染みの性能です。
エンジン性能的にはとてもスポーティでダイナミックなのですが、やはりSクラス特有の「快適性重視」な調整がされているため総合的にスポーティさが薄くなっています。
ただ、快適にゆったりとした走りを楽しむということならこれに勝るものはAMGクーペの中にはないでしょう。
正しい扱い方は大きなパワーを持ってして余裕と品のある走りをするというものです。室内に搭載された快適装備を満喫しながら、景色も楽しみつつ心と走りに余裕のあるドライブを楽しみましょう。
GT
イタリア語では「グランツーリスモ」、英語では「グランドツーリング」を意味するGT。快適な居住性と高速長距離走行に適した性能の高さを両立している車が、GTと呼ばれます。実用車の範囲内でありながらも、快適に遊べるのがGTの魅力ですよね。
ベンツAMGクーペにも、やっぱりあったGT。
ワイドでありながら超ロングノーズの特徴的なデザインが光っています。正面から見ると、ワイドな鼻先からキャビンとリアにかけて狭まっているように見えるため、「横広がりでボッテリしている」という印象はなく、むしろ引き締まっているような印象を受けますよね。
そんなGTの特徴は高い快適性と、驚くほどの乗りこなしやすさです。
踏み込めば怖くなるほどのスピードが出るというのはもちろんのこと、高速走行時のカーブの曲がりやすさがピカイチ。「曲がれるかな」と不安になるような場面でも、すんなりと曲がってくれます。操作性がとても高く、走りに関して特に欠点を感じさせません。
そんなGTのエンジンはV型8気筒エンジンです。その最高出力は340kW/6,000rpmで、最大トルクは600N・m/1,600~5,000rpmと高性能。発進してすぐに大きなトルクが発生して、それが車をグイグイ引っ張り、エンジン回転数が上がるにつれて速度もどんどん上がっていくのが快感です。
そして、これだけ大きな力を受け止めるブレーキの性能はとても強力。よく走ってよく曲がって、そしてよく止まる。車の三原則がどれも強力でバランスが取れており、非常に乗っていて快適です。扱いやすいので誰でも乗ることができるでしょう。
スーパーカーでは、ないかもしれません。
でも、だからこそついついどこに行くにでも乗って行きたくなる車なんです。
GT S
GT SはGTのさらに高性能版です。
同じエンジンを積んでいますが、調整を施して最高出力と最大トルクを向上させています。C63 Sのようなものですね。そんなGT Sの最高出力は375kW/6,250rpmで、最大トルクは650N・m/1,7504,750rpmです。
GTよりも軽いドライブフィーリングが特徴的で、苦労せず取り回しができます。とにかくハンドルが軽くて、大きな車体を軽々と動かすことができるのが魅力。どのモードでも快適に走ることができて、乗りやすい。
GTの特徴をうまく利用して、それをさらに高い次元へと持っていったのがGT Sという車です。
最高のグランドツーリングを味わうことができるでしょう。
装備を基準に各グレードの特徴を見てみる
これまで、デザインや性能をメインにして各グレードの特徴について語りました。これだけでもグレードによって違いがあるということが、十分おわかりいただけたかと思います。
ただ、性能や見た目だけではありません。装備について触れて初めて、各グレードの違いを完全に把握したことになるのです。
そこで、下記PDFから装備をいくつか抜粋して各グレードの装備について見てみましょう。全ての装備を閲覧したい場合は、下記PDFをご参照ください。
CLA「http://www.mercedes-benz.jp/catalog/cla-class/ebook/spec/index.html」
C「http://www.mercedes-benz.jp/catalog/c-class/coupe_cabriolet/ebook/spec/index.html」
CLS「http://www.mercedes-benz.jp/catalog/cls-class/ebook/spec/html5.html#page=5」
S「http://www.mercedes-benz.jp/catalog/s-class/coupe/ebook/spec/index.html」
GT「http://www.mercedes-benz.jp/catalog/gt/ebook/spec/html5.html#page=5」
CLA 45 4MATIC装備、特徴、異なる点
- 3ステージESP
- レーダーセーフティパッケージ
- AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション
- AMGレッドブレーキ・キャリパー[フロント・リア]
- AMG強化ブレーキシステム
- AMGスタイリングパッケージ[フロントスポイラー、サイド&リアスカート]
- メモリー付フルパワーシート[前席]
- AMGスピードシフトDCT
- AMGドライブユニットシステム
- AMGメーターパネル
- AMGエンブレム付エレクトリックキー
- アンビエントライト(マルチカラー、ウェルカムファンクション機能付)
どの装備を見ても、AMGの基本的な装備が一通り揃っているといった印象を受けます。特筆すべきところや突出した部分はありませんが、AMGクーペの入門モデルとしては十分な内容ではないでしょうか。CLAクラスらしさに溢れています。
C 43 4MATIC Coupe装備、特徴、異なる点
- 19インチAMGマルチスポークアルミホイール(ブラック)
- AMGエグゾーストシステム
- ブラッシュウッド/アルミニウムインテリアトリム
- AMGスポーツステアリング
- AMGパラメーターステアリング
- ヘッドアップディスプレイ
- オートマティックベルトフィーダー
- アンビエントライト(3色)
CLAと同じくAMGの基本的な装備が多い中で、所々プラスアルファの部分も見られます。AMGパラーメーターステアリングや、エグゾーストシステムなんかがそうです。
AMGエグゾーストシステムが搭載されていることによって、通常の排気音よりも迫力のあるスポーティな音を聴くことができます。エンジンを開始して吹き上がるときの音は、「これからドライブするぞ」という合図ですから、こだわりたい部分ですよね。
また、ヘッドアップディスプレイなどAMG関係の装備以外でもCLAより充実しているのが見てとれるでしょう。
ヘッドアップディスプレイは、フロントガラスの奥のほうにオブジェクトが浮かんでいるように見えます。オブジェクトは運転に必要な情報ばかりなので、これによって路面から目を離さずに情報をキャッチし、適切な運転判断ができるようになるというわけですね。
C 63 Coupe・C 63 S Coupe装備比較
C63 Coupe | C63 S Coupe |
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注目すべきなのはエグゾーストシステムの違いと、LSD方式の違いでしょう。エグゾーストシステムは、どちらも「迫力」と「スポーティなサウンド」が重視されています。パフォーマンスエグゾーストシステムの方がより「聴かせる音」に仕上がっていてクオリティが高いですが、音は人それぞれ好みがあるでしょう。
一度、店頭で聴いてみるなりするのがオススメです。
次に、LSD方式の違いについて説明します。
機械式とありますが、これはデフギアに直接干渉するパーツが取り付けられていて、それが直接デフの動作を制限して駆動輪の空転を抑えてくれるものです。
これによって、コーナリング時の速度低下や悪路におけるスタックなどの問題が生じるのを極力抑えることができます。
電子制御式は、その名前のとおり電子制御によってエンジンの回転数を制御したりトルク配分を行うことによって空転を防ぐものです。
センサーによる感知やコンピュータの演算によって制御が行われるため、電子制御式のほうがより正確だと考えられますよね。
他にもダイナミックエンジンマウントなどC63 SにはC63に無い特徴がありますが、それら全てをひとつの言葉でまとめてみましょう。
ズバリ、「C63よりも快適にドライブを楽しめるようになった」ということです。
CLS 63 S・CLS 63 S 4MATIC装備比較
CLS63 S | CLS63 S 4MATIC |
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元々CLS63 SとCVS63 S 4MATIC両方には、AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンションが搭載されています。CLS63 Sは、そこにパフォーマンスサスペンションをプラスしているのですが、CLS63 S 4MATICにはそれがありません。
パフォーマンスサスペンションは通常よりもスプリングを硬くして粘り強く安定感のある走りを実現しているものですが、これが取り付けられるのは2輪駆動だからこそなのでしょう。4輪駆動は元々安定感がありますからね。
そのため、この両者のうちどちらかを選ぼうか迷った際は、単純に駆動方式の違いで選んでも良いのではないでしょうか。
S 63 4MATIC Coupe・S 65 Coupe装備比較
S63 4MATIC Coupe | S65 Coupe |
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Sクラス特有の快適装備を多数揃えている両グレードの違いは、マジックボディコントロールの有無とシフトの違いというところにあります。それら以外は見た目の違いばかりですね。
マジックボディコントロールがS65には装備されていますが、これは一体なんなのでしょうか。
フロントガラスに搭載されているステレオカメラが、前方15メートルの路面を監視します。それと同時にサスペンションを制御して、最適な乗り心地になるように調整してくれると言うのが、マジックボディコントロールの仕組みです。
たとえば、前方に段差があったとしましょう。段差に乗る前にあらかじめサスペンションを制御して、段差に乗ったところでその衝撃をサスペンションストロークをたっぷりとして吸収してくれます。これいよって、乗り心地が平坦になるのです。
乗っている人に段差の感覚などが伝わらないため、まるで滑っているような感覚になります。
車酔いしやすい人でも快適に乗ることができるのではないでしょうか。
さらに、サスペンションと連動しているシステムであるため、サスペンションがマジックボディコントロール仕様になっているというわけです。
また、シフトにも二つのグレードで違いがありますよね。
これらはどちらも直感的かつ素早くシフトチェンジを行うことができるというものですが、スピードシフトプラスのほうが精錬されている印象があります。
GT ・GT S装備比較
GT | GT S |
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GTのほうは、AMGの基本形に近いです。AMG関係の装備はC43と似通っています。GT Sは見るからにGTより豪華ですよね。
パフォーマンスシートや電子制御LSD・パフォーマンスエグゾーストシステムなど、色々な部分でGTよりも勝っていると言えるのではないでしょうか。
ひとつ、GT Sの装備で見慣れないものがありますね。
「ダイナミックエンジントランスミッションマウント」は、AMGクーペの他のどのグレードにも設定がありません。メルセデスによれば、「究極のハンドリングと快適性のためのマウント」とのことです。
エンジンマウントとトランスミッションマウント両方に、磁性体入りの液体マウントを搭載しています。各種センサー情報からドライビング状況を読み取り、マウントの硬さを調整。通常走行時はやわらかく、高速走行時は硬くして状況に応じた「最適に快適な状態」のマウントを実現してくれるのです。
これによって、乗っていて快適・運転して快適という二つの高い快適性が得られます。
また、ステアリングレスポンスも向上しているのでより俊敏にドライブを楽しむことができるのです。
とてもGTらしい装備と言えるのではないでしょうか。
他にも、GTとGT S共通でGTらしさ溢れる装備が多数搭載されています。たとえば、トランスアクスルレイアウトやアルミニウムスペースフレームなどです。全ての装備を語ることはしませんが、気になる方はぜひ先述のカタログをご覧ください。
各グレードの評価 こんな方にオススメ!
これまで、AMGクーペ各グレードの特徴をじっくりと紹介してきました。紹介してきた特徴にあるように、どのグレードにもそれぞれ魅力があり、選ぶ価値があります。
自分に合ったグレードはどれか、どんなグレードを選ぶべきかは自分の需要に合わせて考える必要があるでしょう。
そこで、各グレードを評価しながら、それぞれどんな方にオススメなのかについて簡単に語りたいと思います。
グレード名 | 評価 | こんな人にオススメ |
---|---|---|
CLA45 4MATIC | ☆☆☆ | 標準的なAMG車が欲しい方へ。 |
C43 4MATIC Coupe | ☆☆☆☆☆ | 実用性を追求しつつもスポーティに走りたい方へ。 |
C63 Coupe | ☆☆☆ | 冒険心くすぐるスピード感を味わいたいが、予算に余裕がない方へ。 |
C63 S Coupe | ☆☆☆☆☆ | 快適にドライブを楽しみたい方へ。 |
CLS63 S | ☆☆☆ | 性能・装備・快適性など、全てのバランスを高次元で保ちたい方へ。 |
CLS63 S 4MATIC | ☆ | CLS63 Sの4輪駆動が欲しい方へ。 |
S63 4MATIC Coupe | ☆☆ | 圧倒的な性能と、圧倒的な豪華装備を手に入れたい方へ。 |
S65 Coupe | ☆☆ | ラグジュアリーなクーペの最高峰を手に入れたい、快適性や豪華さを追求する方へ。 |
GT | ☆☆☆☆☆ | 「他にはないすばらしさ」を味わいたい方へ。 |
GT S | ☆☆☆ | より快適にグランドツーリングを楽しみたい方へ。 |
CLA 45 4MATICの評価
CLAクラスということで他クラスに比べると装備は貧弱ですが、それでも流石メルセデス……実用的な装備の多くが揃っています。Cクラスになるとより豊富になりますが、趣味性の強い装備も増えてしまう。趣味性を求めない方にとっては、邪魔な装備も多いでしょう。
CLAクラスは実用性のみを求めるという意味では最もオススメできますが、AMGらしさを追求したい方には物足りないかもしれません。
ただ、AMG関係の装備の標準とも言えるものは全て揃っているためAMGクーペ入門モデルとしてレベルが高いです。あまり色々なものをコテコテと付けず、シンプルなAMGクーペが欲しいならCLA45は最も良いグレードとなるでしょう。
C 43 4MATIC Coupeの評価
C43になると、実用的な装備のみならず趣味性の強い装備まで取り揃えられるようになります。その分快適装備はCLSやSクラスよりも貧弱ですが、そこは「Cクラスだから」と割り切るしかないでしょう。快適性を重視したいなら、CLS以上がオススメです。
そうでなく、実用性と趣味性、そしてスピーディに走れる性能の三つを重視する方にはC43 4MATIC Coupeはとても良い選択肢となり得ます。
価格とのバランスも素晴らしく、これだけの性能があれば「スポーティなクーペに乗っている」という実感も得られるため、とてもオススメですよ。
C 63 Coupeの評価
C63までくると、スピード感は「恐ろしい」と感じる段階にまで到達しています。それと同時に、冒険心をくすぐる面白い性能でもあるのがC63の魅力です。
Cクラスの実用性と趣味性両方のバランスが良い装備内容を得つつ、フルパワーの想像がつかないほどの高性能を体感したい方にオススメします。
C 63 S Coupeの評価
C63 SはC63とユーザー層がほとんど被るのですが、予算に余裕があるならC63 Sを購入する方が幸せになれますよ。価格差はベンツ的には「それほど変わらない」と言える範疇ですし、C63 Sのほうが運転を楽しめる仕掛けが整っているのでオススメです。
ハイパワーの車なので、やはりガンガン加速してスピードを出してドライブを楽しみたいでしょう。
スピードを出すということは、それだけ安定感を出すのが難しくなるということです。速度が出ると同時に、安定性は引っ込みます。
ただ、C63 Sは電子制御式LSDやエンジンに搭載された液体マウントによって、C63よりも安定感が増しているので、速度を出したとしてもC63より安定した走りを楽しむことができるのです。
スピーディな走りを楽しむには安定性が必要不可欠ということで、C63よりC63 Sのほうがオススメ度が高くなっています。
CLS 63 Sの評価
CLS63 Sは、性能・装備・快適性どれをとっても高い次元でバランスよくまとまっています。性能だけが突出しているわけでなく、快適性もそれに合わせて高められていますし、装備もCクラスとSクラスの中間というような豪華な仕様です。
価格は高いものの、それらと比べると納得できるレベルではないでしょうか。
そのため、色んな人にオススメしやすいです。
CLS 63 S 4MATICの評価
4輪駆動は魅力的ですが、CLS63 Sで敢えて4輪駆動を選ぶ意味は薄いのではないかと感じてしまいます。CLS63 Sは十分安定性が高いですし、2輪駆動にしては粘り強い走りが出来るので走破力も高いです。
峠道でもグイグイと引っ張ってくれるので、快適に峠越えができます。
2輪駆動で十分需要を満たすことができているのではないかということで、オススメ度が低いです。
S 63 4MATIC Coupeの評価
圧倒的な性能の高さと、圧倒的な豪華装備の両方を手に入れられるところがS63の大きな魅力です。シートのマッサージ機能やマルチコントロールシートバックなどの快適装備が充実しており、ナイトビューアシストプラスなどの安全装備も充実しています。
それだけでなく、スワロフスキークリスタルアクセントをあしらったカップホルダーカバーなど、驚くほど豪華なインテリアが広がっているところも魅力的です。
笑いが出てくるほどの豪華さと性能を誇るS63からは、高級クーペの威厳をひしひしと感じますよね。上級思考も極まっているなあと、ある意味で感心させられます。
価格があまりに高いのでオススメ度を下げていますが、クオリティは非常に高いです。
S 65 Coupeの評価
ここまでする必要があるのだろうかと呆れそうになるほどにハイパワーな性能を持ち、ラグジュアリーな装備や仕様をふんだんに盛り込んだ、AMGクーペの最高峰です。
群を抜いて大きな力を利用して余裕のある走りをするさまは、「高級車」と聞いてイメージする姿そのものでしょう。威風堂々・悠々自適……こんな車が道を走れば思わず二度見してしまいそうですよね。
これ以上語る必要がない、それほどまでに魅力の大きなグレードです。
例のごとくオススメしづらい価格設定なので、オススメ度は下げています。
GTの評価
高い快適性と、圧倒的な乗りこなしやすさ、そして面白さ……他にはない素晴らしさがGTにはあります。デザイン性が高く、まず見た目からして面白いですよね。GTで遊びに行ったら、出先で車について聞かれそうです。
見た目は面白いですが、性能は安定志向なところも好印象。高いパワーを出せる高性能エンジンによるパワフルな走りと、それを支える高い制動力、そしてコーナリング時の安定性。
どれをとっても一流な調整がされているので、ドライブがより一層楽しくなります。
GT Sの評価
GTよりハイパワーになっただけでなく、ハンドリングが軽くなったことによって扱いやすさまで向上しているところがGT Sの大きな魅力です。
GTはスポーツカーというよりも、安定的にドライブを楽しむ快適性重視の車なので、パワーが上がるのに合わせて扱いやすさや快適性まで高くなっているのは嬉しいですよね。
快適にグランドツーリングを楽しむのに、ベンツでこれ以上の車はないでしょう。
AMG クーペの総合評価
AMGクーペは、見ていて面白い車ですよね。デザインに違いが現れているもの、見るだけでは違いがわからないもの……さまざまなグレードの色んな違いを追っていくと、それだけで楽しい気持ちにさせられます。
そして、どのグレードも魅力的に見えてくるんですよね。
GTという独自の魅力を持つグレードを購入すべきか、それとも標準タイプのCLA43を買うべきか、はたまたラグジュアリーなS63か……悩むのも楽しいのだから、困ったものです。
グレードを選ぶときには、予算の範囲内で「実用性」「趣味性」「快適性」「走行性能」どれを一番重視するかを考えるとスムーズに決まるのではないでしょうか。
ただ、早々に決めてしまうのも、どこか寂しさがありますよね。
 
車の乗り換えで「ほとんどの方が損をしている」その盲点とは。
私はこの方法で毎回新車を30万円安く購入しています。覚えておいて損はありません。
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