街中でよく見かけるようになった、似たような印象の車同士。
クルマに詳しくない人たちにとっては、その違いすら分からないかもしれませんが、それこそメーカーが意図したことなのでしょう。共車ともその強烈で個性的なフロントグリルには目を惹かれてしまいます。
ここではこの両車の何が違うのかをいくつかの視点から検討し、購入時の参考となるべく比較してみましょう。
目次
車体価格、ローン維持費で比較

高級ミニバンと、いま一番の売れ筋の中型ミニバン。その中でもエスクァイアは見るからに個性の強い印象で存在を引き立たせています。
まずはエスクァイアとアルファード・ヴェルファイア(以下アル・ヴェル)という似た者同士を価格面から比較してみましょう。
エスクァイア | アル・ヴェル | 価格差 | |
---|---|---|---|
価格 | 2,657,782円 | 3,197,782円 | 540,000円 |
3年ローン(月々) | 73,827円 | 88,827円 | 15,000円 |
5年ローン(月々) | 44,296円 | 53,256円 | 8,960円 |
比較結果考察
外見から受ける印象以上に、両車の価格には大きな違いがあります。
ベースグレード同士であっても540,000円もの価格差は3年ローンでも月々15,000円、5年ローンでも月々9,000円近い大きな金額差になってしまい、最初の大きな決断を迫られるところにもなっています。
さらに設定されているグレードの違いを見てみると、エスクァイアが「Xi」と「Gi」の二つに2種類のエンジンだけ。
それに対するアル・ヴェルでは4つのグレードに3種類のエンジン、そして2列目シートだけでも4種類のバリエーションと、装備の違いによって18もの選択肢があります。(ともに2WD車の場合)
ただエスクァイアの場合は、数あるミドルクラスミニバンの中でもより高級感をアピールする存在なだけに、ベースグレードとはいってもその装備には目を見張ることが大きな特徴となっています。
このクラスのミニバンといえば、これまでは若いファミリーを主たる対象としていたこともあって、使いやすさだけでなく価格も重要な決定要素になっていました。
クルマそのものに対する質感とか「こだわり」といった要素はあまり考慮されることがなかったところに、満たされていなかった「隙間」を埋めるものとして初めて登場したのがこのクルマということになります。
一方のアル・ヴェルはベースグレードでも足回りについては上位グレードと全く同じの高級感ある「走り」が味わえるとともに、広大な空間と「アル・ヴェル」というブランドを背負っていることによる満足感が味わえるクルマ。
どちらを選ぶか、まずはここの「気持ちの持ち方」によっても変わってくるでしょう。
実燃費、月々のガソリン代金で比較
これだけのサイズのクルマともなると、一番気がかりなのはやはり維持費、中でも燃費については最大の関心事となるでしょう。しかし現在この両車が大人気であるのも、その優れた燃費性能にも理由がありそうです。
エンジンの比較 | エスクァイア | アル・ヴェル |
---|---|---|
総排気量 CC | 1,986 | 2,493 |
最高出力(ネット)
KW(PS)/rpm |
112(152)/6,100 | 134(192)/6,000 |
最大トルク(ネット)
N・m(kgf・m)/rpm |
193(19.7)/3,800 | 235(24.0)/4,100 |
エスクァイア | アル・ヴェル | |
---|---|---|
カタログ燃費 | 16km/L | 12.8km/L |
実燃費 | 12km/L | 11km/L |
月々のガソリン代金 | 10,000円 | 10,909円 |
年間のガソリン代金 | 100,000円 | 109,000円 |
※ガソリン代金は120円で統一。月々1000km、年間1万km走行した場合の試算結果です。
実燃費の比較結果考察
カタログ燃費では大きな差のある燃費ですが、実際にユーザーによる口コミ評価をみてみると、意外とアルファードの燃費の良さがいいことに驚かされます。2トンもある車体重量ながら、11km/Lという好結果は、最近の省燃費技術の進歩の素晴らしさを実感させてくれるものでしょう。
2Lと2.4Lという排気量の違いがあるとは言うものの、エスクァイアの燃費も定評ある「ノア」「ヴォクシー」と同等ということになり、使い勝手も考え合わせると満足のいく結果です。もちろん乗り方によって燃費も変わってくるとはいうものの、大人数で乗る機会が多いことも考え合わせると、両車とも十分満足のいく結果と言えるのではないでしょうか。
したがって実質的な燃費の違いからどちらかを選ぶということを考えなくてもいいということは、判断する上でも重要なポイントとなるでしょう。
室内・インテリアのオーナー満足度を比較
ともに広い室内空間と豪華な装備が「売り」の両車ですから、その特徴も一番よく表れている部分ということにもなります。ユーザーによる口コミ情報を通して、それぞれの満足度を比較してみましょう。
車体サイズの比較
エスクァイア | アル・ヴェル | |
---|---|---|
車長 | 4695mm | 4915mm |
車高 | 1825mm | 1895mm |
車幅 | 1695mm | 1850mm |
最低地上高 | 160mm | 160mm |
ホイールベース | 2850mm | 3000mm |
室内サイズの比較
エスクァイア | アル・ヴェル | |
---|---|---|
室内長 | 2930mm | 3160mm |
室内幅 | 1540mm | 1585mm |
室内高 | 1400mm | 1400mm |
エスクァイアの口コミまとめ
まずはエスクァイアから。ノア・ヴォクシーではなく、あえてエスクァイアを選ぶ理由がわかります。
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
初ミニバンで、車内スペース、スライドドア、フルリクライニングの便利さを実感しています。ロングスライドシートも含めて、家族も満足しています。 | デザインや色合いなど、全体的に落ち着いているのは良いですが、ボタンが一目見ただけでは分かりづらいです。あと、プラ素材の質感が残念です。 |
内装全部がブラックなので凄く高級な感じはします。たぶん飽きがこないと思います。 | リアゲートが重くて持ち上げるのが大変です。それと閉める時も高すぎて閉めにくいです。 |
シートの触れた感触、座り心地、温かさ、高級感あります。 | コンソールの部分が大きくはみ出していて、ドライバーの左足がぶつかってしまいます。 |
前列、二列目ともに満足しています。三列目は畳まずに物置として使っており、乗ったことはありません。 | 2列目、3列目にもテーブルがあればいいのに。 |
良いと思います。前車より華やかです。ドアミラーが大きく後方視認性が良いです。リヤシートのスライド量が多いので大人でもゆったり座れると思います。 | 2列目の窓が半分までしか下ろせないのが残念です。 |
今人気のミドルクラスミニバンの中でも高級志向を目指したエスクァイアですから、内外装にはそれを意識した雰囲気作りが随所に感じられます。
内装についてはインパネの素材やステアリング、シフトノブ、さらにはドアの内貼りにまで合成皮革が採用されており、金属感のある装飾やステッチ、カラーにも配慮がなされ、上質な雰囲気が作り出されているようです。
これはこれまでのファミリー用であることとミニバンの持っていた実用性を優先したイメージを一新し、上級感を「感覚的」に味わせてくれるもの。
つまりはファミリーを大切にしながらも、併せて妥協することなく自分の「空間」も持っていたいというドライバーの願望をかなえてくれる車ということになるのでしょう。
それでいながら2列目に乗り込むときの段差が360mmでしかないことや、室内でのシートアレンジの多様性は、小さな子供やお年寄りのいるファミリーにとっても見逃せないエスクァイアの隠されたメリットです。
要するにドライバーの満足と同乗者の満足をバランスよく組み合わせたクルマということになるのでしょう。
アルファード・ヴェルファイアの口コミまとめ
豪華さが売り物のアル・ヴェルの室内空間の広さと内装のバリエーションの多彩さには目を見張ります。
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
助手席に座っていた妻もセカンドシートに座るようになりました。ラゲージ床下収納は思っていたよりも深くて広く、ゴムチェーンのBOXがそのまま入るのは驚きました。 | 以前のアルファードにはあったはずの、リアドアのものがいれられるボックスがなかったり、物入れの材質などグレードがダウンした気がします。 |
金額も安いと感じます。日本ならではの特権ですね。子どもがいる家庭には大変お勧めします。 | ドアの内張等プラスチック感にがっかりする事もあります |
細かなところまで気が使われており、インテリアイルミ、ステップライトの光り方もすごく内装の高級感とマッチしており感激しているばかりです(笑) | ステップとか黒系になったので汚れが目立つようです。ベージュ系のままの方が良かった。この色の変わるLEDの照明は、もっと明るくなれば意味はあるけど、ただの飾りですね。 |
インテリアには非常に満足しています。ここから先は他社メーカーの同クラスとは比べ物にならないほどの物。シートや細部に至るまで高級感が半端ない。メーター周りなどにもとても満足しています。 | スライドドアのスイッチがオーバーヘッドコンソール部にあり、開閉にいちいち上を向く&手を伸ばさないといけないのが手間に感じます。 |
身長180cmの父が半車椅子生活なのでステップが低く、ルーフが高いので乗り降りが楽で非常に助かります。アシストグリップも素晴らしく、前車で苦労していた事が一気に解決されました。ラゲッジに車椅子を積んで家族7人が乗車しても車内は広々としています。 | 室内は広いのですが、意外と室内の収納スペースが足りません。子育て世代にとっては不満な点です。 |
アルファードの内装の素晴らしさは圧倒的ですらあります。
ベースグレードが320万程度であるのに対して最上級グレードでは700万円にもなってしまう理由の大部分も、そのバリエーションの違いから来るもので、いわばアルファードの一番の魅力ともいえる部分でしょう。
ファミリー用途として多人数でも使い勝手のいいグレードから、社用車として社長が乗るための日本的な「豪華さ」を存分に提供してくれるグレードまでが設定され、今や自分が運転するクルマとしてではなく、乗せてもらうためのクルマとして「憧れの存在」にまでなっています。
以前であればだれも想像し得なかったそんな「品格」さえミニバンで味わえる時代がくるとは、一体どれだけの人たちが予想できたでしょうか。
両車の比較
3ナンバーサイズであることが生かされた造りのアル・ヴェルが、室内空間の圧倒的な広さを満喫させてくれるのは当然のことです。さらに3列目まで使う頻度が高ければ、アル・ヴェルの方が圧倒的に有利となります。
足元の余裕のスペースやシートの座り心地に至るまで、3列目でアル・ヴェルに勝るクルマはないといっても過言ではないでしょう。
一方で3列目シートを使う機会が少ないユーザーにしてみれば、シートをたたんで荷物スペースを大きく確保できることはミニバンの大きなメリットでもあります。
3列目シートが折り畳まれてしまう場合、アル・ヴェルの豪華なシートの厚みが災いして、エスクァイアの方が確保できる空間の横幅と高さが大きくなり、結果としてより広いスペースが確保できるのは意外な事実です。
エスクァイア | アル・ヴェル | ||
---|---|---|---|
最小横幅(mm) | 1100 | 920 | |
高さ(mm) | 1240 | 1150 | |
奥行(mm) | 480 | 240 | 3列目シートスライド最後尾 |
1235 | 1265 | 3列目シート格納&2列目シート使用時 | |
1710 | 1780 | 3列目シート格納&2列目シート最前端 |
また奥行きについても、3列目が固定式のエスクァイアに対して、アル・ヴェルでは3列目シートが前後にスライドできる構造となっているため、通常時は逆に狭く設定されていることにもよるのでしょう。
いずれにせよユーザーの利用の仕方によって、どちらを優先すべきか決められることになるでしょうが、結構重要であり注目しておきたいポイントでもあります。
最初から上質感ある内装が施されているエスクァイアに対して、さまざまにグレードアップできる選択肢が豊富なアル・ヴェル。どちらを選ぶかは、結局は自分の求めるものと予算次第ということになるでしょう。
運転の快適性、走行性能で比較。ストレスがすくないのは

以前であれば、最愛のファミリーのために犠牲にされることの多かったミニバンの「走り」ですが、技術の進歩もあって最近では素晴らしく改善されるようになってきました。
この両車に代表されるミニバンの車格が高まってきたのも、このことが大きな背景となっているのでしょう。それぞれの「走り」の評価をユーザーの声を通して比較してみました。
エスクァイアの口コミまとめ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
コーナーも安定感ありますし、高速も安定してます。重厚な感じすらあります。幅の狭い五ナンバーでも低床効果で浮いた感じがありません。 | 同じ一般道を運転席や助手席では全く感じないのに、2列目や3列目に乗ったとたんガタンガタン感じますし、きしみ音も2列目や3列目だと伝わってきます。この違いは何なんでしょうか。 |
進む、止まる、曲がる。ドライバーの意思通りに、きちんと反応してくれます。全く問題なく快適です。 | ん~やっぱり5ナンバーですね。横揺れはOKですが縦揺れはやっぱり5ナンバー。 |
平坦路では快適です。路面状態の悪い道路では凹凸を拾いますが。ミニバンなのでこんなものかと思います。 | カーブでのロールが大きいのは気になります。 |
TOYOTAの車の足回りは柔らかいイメージが強いですが、結構固めで私好みです。 | エコモードにするともっさり感はあります。 |
パワステが軽くてとても操作しやすいです。アイシスより全然疲れません。 | 同じ一般道を運転席や助手席では全く感じないのに、2列目や3列目に乗ったとたんガタンガタン感じますし、きしみ音も2列目や3列目だと伝わってきます。 |
「走り」に関しても、定評ある新設計の低床プラットフォーム、ボディ全体の合成の強化、そして丁寧にチューニングされたサスペンションの効果がよく表れているようです。
ミニバンの弱点だった車体のふらつきが抑えられ、より高級感を感じるクルマに仕立て上げられることは、エスクァイアの大きなセールスポイントにもなっています。
さらに運転席や助手席に乗り込むときのフロアがさほど高くなく、自然なポジションで乗り降りできることもミニバンらしさを感じさせないメリットのひとつ。
普通車よりも高めな着座位置による見晴らしのよさも抜群で、ボックスタイプの車にありがちな取り回しの面倒さも感じさせません。
アルファード・ヴェルファイアの口コミまとめ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
走りや乗り心地などは同じ。そういった部分での満足はどのグレードもかなりよい車だと思います。数か月乗ってみれば静寂性や燃費などかなり実感できるとてもいい車だと思います。 | 唯一気になる点と言えば、ハンドルが戻ろうとする力が若干強めにかかる時があるので女性だと腕に疲れを感じてしまうかも知れません。 |
やわらかさで衝撃があまり伝わってこない所から車内をとても居心地の良い場としております。最高の乗り心地です。 | 5Lのガソリンですが、走り出しがもっさり感があります。つねにエコモードにしているから余計ですかね。 |
運転席、助手席の乗り心地は前モデルよりは少し固い?(シートではありません)という印象を受けますが、良い感じです。 | 純正だとフワフワした感じでタクシーに乗っているようでした。良くも悪くもないって感じです。 |
後部座席はダブルウイッシュボーンの恩恵をかなり受けており全くの別物のような乗り心地です。この車はやはり前座席ではなくセカンドシート、サードシートが恩恵を沢山うけていますね。子供は大喜び。友人はスゲーの連続です。 | 良いなと思える乗り心地は低速域までで、速度を上げるにつれ、それなりの乗り心地になります。 横揺れ縦揺れは少なからずあります。 |
すごく変わりました。これが一番変わった気がします。静かというか車全体に、負荷がかかってない、内装部分がギーギー言わない感じになりました。以前のアルファードとは全く別物ですね。 | 視界については左前と後部の視認性が悪く思います。 |
前モデルからの乗り換えユーザーが多いせいか、そのモデルとの比較が多く寄せられています。その中で圧倒的に多いのが走りの質に対する好評価。
今までどうしても貨物車からの延長として見られることの多かったこのクラスのミニバンのイメージを一新したことからも、このクルマに対するトヨタの力の入れ具合が伝わってきます。
同じ足回りの上に多彩なバリエーションの内装を提供できるのも、こうしたクルマとしての基本部分の完成度の高さによるもの。
以前はクラウンやレクサスの独壇場だったハイヤーも、最近ではアル・ヴェルが選ばれることが多くなってきたことからしても、それが証明された形になっています。
政治家や芸能人が頻繁に利用するクルマとしてTVに頻繁に登場することも、イメージアップに繋がっているのでしょう。
【エスクァイア VS アル・ヴェル】比較結果まとめ。こんな人はこっち
単なる燃費稼ぎという点だけでなく、最近の省エネ意識の高まりの中で社会的責任を少しでも果たしたいという意識の点からも、ハイブリッド車が選ばれることも多くなってきました。
アル・ヴェルではハイブリッド車となると最低でも400万円を軽く超えてしまうものが、エスクァイアでは310万円から購入可能と、アル・ヴェルのベースグレード(自然吸気エンジン)とほぼ同じ値段で購入できてしまうのも大きな魅力となるでしょう。
実際にエスクァイアではハイブリッド車を購入する比率がずいぶん高いことからしても、その魅力のほどが裏付けられているのかもしれません。
アルファードとエスクァイアが同じトヨペット店での扱いであることにも注目です。つまりは、同一店舗の中で両方のクルマを並べてユーザーが比較出来るメリットがあるということ。内外装の違い、試乗車での乗り心地の比較など、徹底的に体験してみましょう。
同じくエスクァイアを販売しているトヨタ店では、同店扱いのクラウンからのダウンサイジング用のお薦め車として似たようなフロントグリルを持つエスクァイアを。
また一方のトヨペット店ではアルファードとの「合わせ技」で豊富な選択肢をユーザーに提供していることから見ても、トヨタの巧妙な販売戦略が見て取れます。
豊富な販売チャンネルを持つ強みが遺憾なくあらわされており、そのことが販売の好調さにもつながっているのでしょう。
最後のまとめとしては、5ナンバーであることによる取り回しの良さと経済性を気にしつつも、やはり上級な車に乗りたいというユーザーにはエスクァイアがおすすめ。アル・ヴェルはアレもコレもハイスペック、まさに高級車を自分のものにしたいというユーザーの「所有欲」と「満足感」を存分に満喫させてくれるクルマということになるでしょう。
 
車の乗り換えで「ほとんどの方が損をしている」その盲点とは。
私はこの方法で毎回新車を30万円安く購入しています。覚えておいて損はありません。
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