一見して普通のクルマ同士の比較のように見えて、実はこの両車には非常に大きな意味合いがあります。
つまり後世になって日本の自動車史が語られることになった際、間違いなくアルファードとエスティマは、その歴史に名前を刻むことになるクルマであろうということ。
それほどまでにこの両車の登場は画期的といえるものであり、単なる仕様比較では言い尽くせない存在感が、そこにはあります。
目次
車両価格、月々ローン代金。それぞれで比較

共に安くはないクルマという点において両車は共通していますが、まずはベースグレード同士の比較から始めてみましょう。
アルファードの場合は最低価格を実現するために多くの装備が省かれているものの、基本的な「走り」の部分は上位グレードと共通です。
一方のエスティマも、根本的な製造コストが高いせいか、もともと安くはないクルマです。初代も発売後になって初めてダウングレードしたモデルを出すなど、ライバル車に対する価格付けには苦労してきた様子もうかがえます。
アルファード | エスティマ | 価格差 | |
---|---|---|---|
価格 | 3,197,782円 | 2,878,691円 | 319,091円 |
3年ローン(月々) | 88,827円 | 79,964円 | 8,863円 |
5年ローン(月々) | 53,256円 | 47,978円 | 5,278円 |
数字だけでは見えない差
両車の32万円もの価格差は、一見してまったく違う車格であるとも言えるでしょう。もっとも目指したものが違う以上、同列に比較すべきではないのかもしれません。
3年ローンでの金額比較でみても、毎月9,000円近い差があるということは、それだけでほぼ毎月のガソリン代に相当してしまいます。
ただそれでもアルファードの売れ行きがいいということは、それに代えられない魅力があるということを意味しているとも言えるでしょう。
またエスティマには比較的少ないグレードが用意されているのに対し、アルファードには実に多くのグレードが設定されているのが特徴になっています。
しかもベースグレードの320万円から最上位グレードの約700万円まで実に2.2倍もの価格差があり、その価格差の多くは内装、特に座席の仕様の違いからきているものです。
さらに追加のオプション装備を加えていくにつれ、ここで比較されている以上に実際の価格差は大きくなってしまうことを、あらかじめ知っておく必要があるでしょう。

実燃費、ガソリン代金比較。
これだけ車体が大きなクルマともなると、どうしても燃費が気になってしまうもの。
特に最近は省エネ意識の高まりもあって、様々な技術革新が車のサイズに関係なく行われており、メーカー間でも激烈な燃費競争が行われているのはよく知られていることです。
その主な手法としてはCVTを含めたエンジンの効率を高めて燃費を稼ぐことと車体の強度を保ちつつ軽量化することの二つ。その特徴がこの燃費の比較からも見えてきます。
アルファード | エスティマ | |
---|---|---|
車体重量 | 1,920kg | 1,770kg |
アルファード・エスティマ共にグレードXでの比較になります。
アルファード | エスティマ | |
---|---|---|
カタログ燃費 | 12.8km/L | 11.2km/L |
実燃費 | 11km/L | 9km/L |
月々のガソリン代金 | 10,909円 | 13,333円 |
年間のガソリン代金 | 109,000円 | 133,333円 |
※ガソリン代金は120円で統一。月々1000km、年間1万km走行した場合の試算結果です。
実燃費の比較結果
アルファードの車体重量が1,920kgであるのに対してエスティマが1,770 kg。それにも関わらず、実燃費ではアルファードの方が勝っているのには注目です。
これはアイドリングストップを始めとする最新の省燃費技術が反映されていることによるのもので、それだけトヨタの技術改革が進んでいることを意味してもいるのでしょう。
言い換えれば、長年大きな手を入れていないエスティマに、トヨタは何かハイブリッド以外の画期的な隠し玉を持っているのではと勘繰りたくもなってしまいます。
このことはアルファードがエコカー減税の恩恵を受けることにもつながり、2.4Lガソリン車の場合、自動車税で25%、自動車取得税で40%、自動車グリーン税制でも約50%と、元となる車体価格が高価なこととも合わせて大きな減税額になっています。
一方のエスティマの場合、現在のところはハイブリッドモデルでは自動車税、自動車取得税が100%、自動グリーン税制では約75%の減税を受けられるものの、ガソリン車ではこの対象となっていないのは辛いところです。

インテリア、室内空間を数字、口コミから比較

ともに室内空間の大きさを「売り」にする両車でも、その意味合いはかなり異なります。共通のプラットホームを持つことからして基本的な部分は似通っているはずですが、エクステリアでもインテリアでも、まったく異なった味付けがなされています。
アルファード | エスティマ | |
---|---|---|
室内長 | 3160mm | 3010mm |
室内幅 | 1585mm | 1580mm |
室内高 | 1360mm | 1255mm |
実オーナーの口コミで比較。実際に乗っている人はこんな感想を
それぞれの大きなセールスポイントである室内空間とインテリアについて、ユーザーからの口コミを通して見てみましょう。
アルファードの室内空間インテリアの口コミ
- エスティマからの買い替えだが、グレードXでも十分高級感がある
- 内装は、かなり高級を意識して作られた感がある。
- シートアレンジは最高に面白いし、全席で自由な広さを堪能出来る事はいいところです。
- グレードによって結構差はあるものの、競合車に比べてもかなり高級感があり、概ね満足です。
- 質感は最高。合皮を贅沢に使った内装・木目のパネル・スパッタリンクのセンターコンソールなど高級車と言っても過言ではないと思う
- 随所にトヨタらしい「かゆい所に手が届く」作り込みで、私のような素人が高級感を感じ易いように上手く作っている

エスティマの室内空間インテリアの口コミ
- 丁度いい広さで一体感のあるインパネで高級感はないものの古臭さも感じられず、樹脂の劣化も全然ありません。
- 収納の多さや各々のスイッチ配置等、ユーザーの使い勝手をよく考えられたデザインです。
- 高級感はないような感じですね。頑張ってはいますが。設計の古さを感じてしまうところもあります。メーターは見やすいです。
- 広すぎず狭すぎず調度いいです。着替えもらくらく。3列使用してもトランクにベビーカーが2台載せてもまだ余裕があります。
- エスティマの後席は最高です。リアビジョン付き大人四人でのゴルフでの後席は社長か!というくらい快適そうです。
成り立ちからしても、どうしても貨物車からの延長形のイメージのあった別名ボックスカー(あるいは「モノスペースカー」)とも呼ばれるミニバンですが、これまでは縦方向への空間を広げて居住性を重視する、エルグランドやアルファード/ベルファイアに代表される一つの方向性がありました。
一方では多人数乗車を可能としながらも、あくまで「走る」ことにこだわった方向性。これにはエスティマやオデッセイが挙げられるでしょう。
これらに加え、今後はますます進展するであろう自動運転の普及に伴って、駆動方式によって差別化されない新たな「寛ぎの空間」あるいは「応接間のような空間」を求める方向性もあり得るでしょう。
つまりは家の中にいるのと似た「車内にいることを感じさせない空間」を、クルマにも一段と求められるようになっていくのではないでしょうか。
そのためにも室内高を大きくすることは、数字以上の感覚的な違いを感じさせてくれるものです。その新たな方向性を具現化したものとして、「大空間サルーン」カーとしてのカテゴリーが、どうやら新たに創造されつつあるようにも思います。
エスティマ購入秘話
エスティマに興味を持った方は必見!下記ページでエスティマの購入突撃取材を行っていますので是非ご覧ください。
>【見積書公開】エスティマ値引きレポート。限界値引き額は引き出せたのか
運転のしやすさ、走行性能の快適性で比較

クルマとしての基本的な機能としての「走り」。それに対しても日々改善が行われており、日本製であることの質の高さを感じさせてくれます。それぞれ与えられた制約の中で、注目すべきポイントをまとめてみました。
アルファードの口コミまとめ
良い評価 | 悪い・どちらでもない評価 |
---|---|
アクセルを踏み込めばそれなりに加速するが、そのような乗り方をしたいとは思わせない雰囲気があります。 | 4気筒なのでエンジン音はあんまり良くないです。 |
爆発的な加速性能というよりはアクセルを少し踏むだけで静かだけど力強くスーッと走ってくれる感じに満足しています。 | 運転していて楽しく、ワクワクするような車ではありません。 |
5Lは非常によく出来ていると思います。絶対的なパワーはないものの、CVTとの組み合わせ・上手に制御するECUによって通常の使用範囲で不満に思うことはほとんどありません。 | 高速道路での追い越し時にちょっと苦しい感じになることがあります。 |
これだけ大きいボディに変わっても車幅の間隔は取りやすく運転しやすいクルマです。 | 車高が高い為、路面から受ける横揺れには弱いです。 |
大柄なボディを考えるなら、ロールや姿勢の安定感など悪くはありません。 | サイドブレーキが電動なので、P以外では機能しないのがちょっと…。まあ設定を変更すれば良いのですが、そのままにしています。 |
最新のモデルではアルファードもエスティマも基本的なプラットホームは共通です。ともに最初から乗用車としてのクルマづくりがなされながら、この両車は車高が250mmしか違わないにもかかわらず、まったく別のイメージを持ったクルマに変貌しています。
車高の違いは空気抵抗のせいで燃費にも大きな影響を与え、車高の高さは不安定さにもつながってしまいます。
しかし、最近のアルファードにはリア部にダブルウイッシュボーン・サスペンションが新たに採用され、これが乗り心地の改善とステアリングの安定性を大幅に高めることに繋がっているようです。
さらには高張力鋼板を使った部分の拡大による車体剛性の強化が、乗り心地と操舵の安定性を大幅に高めることによって、これまでのミニバンと比べても全く異質の高級感を感じさせてくれる乗り心地に進化しています。
こうした努力もまた、車格を高めることにつながっているのでしょう。

エスティマの口コミまとめ
良い評価 | 悪い・どちらでもない評価 |
---|---|
パワー面では、ミニバンの中でもかなり重たい部類の車ですが、4Lエンジンでも勾配のきつい坂道や高速道路で不満を感じたことはありません。何より常用域でのトルクの出方がとても自然で扱い易いです。 | エンジン音やエンジンの回り方等でやや面白味に欠けるところがあります。 |
エンジン音やエンジンの回り方等でやや面白味に欠けるところがありますが、実用的で素性の良いエンジン。エスティマのキャラクターには合っていると思います。 | 直進安定性がイマイチ。電動パワステを採用し、ドライバーの入力に対して敏感すぎる。 |
やや高さのある車ですが、長いホイールベースとワイドトレッドにより走行安定性に優れ、高速でも安心して運転出来ます。カーブでのロールはそれなりにありますが、ロールの出方が穏やかでタイトなワインディングロードでもあまり恐怖心を抱くことなく、そこそこの速度で走れます。 | 広いキャビンを実現するためリヤサスにトーションビーム式を採用しており、ハコ型によるボディ剛性で不利な面があるので、荒れた路面ではそれなりに突き上げ感や揺すられ感があります。 |
いざとなればいい走りもできます。街中、高速で不便は感じません | インパネが運転席側に傾斜しており、助手席に乗ると平衡感覚が狂い車酔いする。 |
一番驚いたのは、納車後に判明したマニュアルシフトのフィーリング。マニュアルシフトモードにしたところ、シフトダウンで回転を自動で合わせてくれます。カタログなどには載ってない機能ですね。 | フワフワが大嫌いなので乗り心地はイヤでした。ちょっとした段差が苦痛でずっと揺れている感じで。 |
大きなモデルチェンジをしなくても、エスティマの売り上げが好調さを持続しているということは、クルマとしての基本性能の完成度が高いということの証明でもあります。
もともとカッ飛ばすタイプのクルマではありませんし、そもそものコンセプト自体が大らかな運転を目指したものです。
2列目以降の同乗者にも十分配慮しながらも、運転する楽しさにも決して妥協しないクルマということなのでしょう。

【アルファード VS エスティマ】比較結果まとめ
ファミリー用途とした場合、両車ともやはりその価格が大きなネックとなってしまいます。
特にアルファードの場合は、従来からのファミリー用途やレジャー用途としての使われ方から、上級グレードともなると、まったく新しい位置づけのクルマとしての使われ方もされるようになってきています。
従来はクラウンやレクサスが選ばれることの多かった社用車としても、その居住性の高さと豪華な装飾のおかげで「乗り換え対象」としてアルファードが選ばれることも多くなり、結果としてもそのイメージが車格を大いに高めることにもつながっているようです。
言い換えればそんなステータス性を持ったクルマを所有する満足感にも浸れるということが、アルファードを選ぶ大きなポイントともなっているのでしょう。
さらに最近ではその精悍で迫力のあるフロントマスクが若い女性にも大人気とのことで、「デートカー」として見られることも多いとのこと。
以前であれば、その持って生まれたスタイリッシュさからエスティマのような流麗なクルマが女性には好まれたものですが、時代の進展とともに新しい価値観も生み出されるものなのですね。
最後に、繰り返しになりますが、この両車は間違いなく日本の自動車の歴史に名を残すとことになるでしょう。それほどマーケットに与えた印象は強烈で、これらのユーザーは後々、「昔このクルマに乗っていたんだよ」と自慢げに話すことにもなるでしょう。
それは仕様云々の話ではなく、それまでの自動車の概念を変えたという意味合いで、間違いなくクルマの方向性を変えた1台とも言えるものです。
「大空間サルーン」と「モノボックスカー」として新たなカテゴリーをつくり上げたクルマであり、その強烈な個性とともに。
将来的に自動車も自動化・電動化の方向へと向かっていく中で、エスティマが唱えた「見られること」に対しての完成度の高さと、アルファードが提唱する「贅沢の極致をつくした室内空間の表現」としてのコンセプトが高く評価されることになるでしょう。
それほどの強烈なインパクトをこの両者は間違いなく備えているのではないでしょうか。
 
車の乗り換えで「ほとんどの方が損をしている」その盲点とは。
私はこの方法で毎回新車を30万円安く購入しています。覚えておいて損はありません。
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