多くの人は状況や用途、そしてコストに見合う満足度を得ようと車を比較します
。そんな中最も悩むのは「総合的に見て魅力を感じる車」と「ある側面において高い魅力を感じている車」を比べる時です。そしてミニバンとSUVはそんな比較対象であると言えるでしょう。
幅広い年齢層からの支持を得ているミニバンとSUVですが、サイズ感の近い存在として他ジャンルの車にない利点を共通して持っているものの、車が持つ方向性は大きく異なります。
一方は車が乗る人に合わせる(サポートする)という「人を主体とした作り」であり、他方は乗る人が車に合わせる(活用する)という「車を主体とした作り」である。と表現しても過言ではないでしょう。そこで今回の記事では両者の違いを整理しつつ、選別のお手伝いできればと思います。
目次
維持費で比較。コストが安いのはどちら?
車にかかる代表的な維持費といえば、月々出て行くガソリン代や駐車場代に保険代(月払いの場合)、そして年単位でやってくる支払いである税金や車検代。あとはメンテナンス代にタイヤ代と言ったところでしょうか。
そんな中でも気になる、ガソリン代・保険代・自動車税について比較し見ていくことにしましょう。そして今回ピックアップしたSUV・ミニバンの人気車種は以下のとおりですので、価格帯も含め後に続く比較をお楽しみ下さい。
SUV | 価格 | ミニバン | 価格 |
---|---|---|---|
エクストレイル | 231万円 | シエンタ | 169万円 |
ヴェゼル | 193万円 | ヴォクシー | 227万円 |
ハリアー | 288万円 | セレナ | 225万円 |
※2015年9月の販売台数を元にピックアップ
※価格はガソリン車のベースグレードを参照

燃費で比較。月々、年間に換算するとコスパが良いのは
SUV
車種名 | 実燃費 | 月間ガソリン代 | 年間ガソリン代 |
---|---|---|---|
エクストレイル | 12.18 | 10,673円 | 128,076円 |
ヴェゼル | 13.41 | 9,694円 | 116,328円 |
ハリアー | 11.89 | 10,933円 | 131,196円 |
ミニバン
車種名 | 実燃費 | 月間ガソリン代 | 年間ガソリン代 |
---|---|---|---|
シエンタ | 14.06 | 9,246円 | 110,953円 |
ヴォクシー | 10.97 | 11,850円 | 142,200円 |
セレナ | 10.34 | 12,572円 | 150,864円 |
※実燃費は多くのオーナーから集められた情報の平均値
※ガソリン代は月間走行1000キロ・ガソリン単価リッター130円(2015年10月現在の全国平均)で計算
比較の結果
燃費コストが一番低いのはシエンタです。
外観に関しては賛否両論ありますが「自由度の高い車」において現状シエンタが一番コスパが良いのは間違いありません。燃費面では当然ハイブリッド車には劣るものの、「街乗りで16出ているので満足です」という声もあるように、ガソリン車の車体価格の低さと燃費性能に高い満足感を得ているオーナーも多いようです。
そしてコンパクトなタイプのヴェゼルを初め、汚れに強くアウトドア・スポーツにも適したエクストレイル、そして内装の満足度で高い評価を得ている高級志向のハリアーと続き「SUVのほうが燃費コストは安い」という結果となりました。「SUVは燃費が悪い」と思い込んでいた方は意外に思うかもしれませんが、現状のハイブリッド車の充実度から見てもSUVの人気上昇と共にメーカー側も力を入れていたのが伺えますね。それとも、メーカーが力を入れたから注目度も上がったのでしょうか…?
それはさて置き、燃費では少し置いて行かれた感じもするヴォクシー・セレナといった人気のミニバン勢ですが、やはり荷物だけでなく「人が多く乗れる利便性」という価値を踏まえると、燃費の差ぐらいは埋まる方もきっと多いでしょう。

保険料で比較。ミニバンとSUVではどの程度差があるのか
SUV
車種名 | 保険料 | 月間保険料 |
---|---|---|
エクストレイル | 30,000円前後 | 2,500円程度 |
ヴェゼル | 25,000円前後 | 2,000円程度 |
ハリアー | 30,000円前後 | 2,500円程度 |
ミニバン
車種名 | 保険料 | 月間保険料 |
---|---|---|
シエンタ | 25,000円前後 | 2,000円程度 |
ヴォクシー | 30,000円前後 | 2,500円程度 |
セレナ | 30,000円前後 | 2,500円程度 |
※設定は30歳以上で13等級、年間走行10,000キロ以下で車両保険無し
※補償内容は対人・対物は無制限、人身傷害3,000万円
比較の結果
小型タイプであるシエンタ・ヴェゼルの保険料が安く、それ以外の車種は一段階上がることが想定されます。
ただ、今回の比較はあくまで「最低限の補償を設定した同一条件での比較」ですので、実際問題としては年齢や各種条件、そしてどこまで補償を広くするかによってもっと差が出ることを念頭において下さい。
例えば車両保険。軽自動車やコンパクトカーと違い、「高価であるからこそ保険をかけておこう」と思う方も多いのではないでしょうか?しかし、実際の所車両の価値が高いほど補償額が高く、保険料も当然上がるものです。そこで、コスト面を考えると「車両保険をどうするか?」と言った話題がよく上ります。
車両保険をどうするか
車両保険とは自責・他責問わず車が受けた損害に備えるためのものですが、保険を使うことで上がる保険料を考えると「使うのにはもったいない程度の損傷」の方が圧倒的に多く、使いドコロが見いだせないまま車の価値が下がった(年数が経過した)段階で外す方が多いのが現状でしょう。
そんな車両保険ですが、新車に限定すると当然入る方のほうが多いです。やはり「ローンが残っているうちにおシャカになると困るから」という意見が多いようですね。保険とはいざというときのための備えなので、コスト云々よりも「今自分の車が大きな損害を受けた時にどう対処するか?」を考えるのが一番妥当と言えるでしょう。自費でなんとでもなるほど余裕がある方は必要ないとも言えますね。
自動車税で比較。税金はどの程度違う?
SUV
車種名 | 排気量 | 自動車税 |
---|---|---|
エクストレイル | 2.0L | 39,500円 |
ヴェゼル | 1.5L | 34,500円 |
ハリアー | 2.0L | 39,500円 |
ミニバン
車種名 | 排気量 | 自動車税 |
---|---|---|
シエンタ | 1.5L | 34,500円 |
ヴォクシー | 1.8L | 39,500円 |
セレナ | 2.0L | 39,500円 |
※排気量はベースグレードで統一
比較の結果
ミニバンもSUVも変わりません。
コンパクトタイプであるシエンタ・ヴェゼルが34,500円。その他が39,500円という結果になりました。ミニバンとSUV両者の違いとしてミニバンの方が高さがあり、SUVの方が幅が有るものの、総重量は同程度なので搭載するエンジンの大きさも同じぐらいになるのも当然の流れでしょう。
ところで、SUVの排気量を見て「もっと大きいと思っていた」という方も少なく無いでしょう。例えば現行ハリアーはガソリン車で排気量2.0L、ハイブリッド車で2.5Lとなっていますが、旧型では2.4Lと3.0Lとがあり排気量の違いによる走りの違いを気にする方も多かったものです。
これは単純にエンジン性能の向上による恩恵とも言えるでしょうし、「排気量が多く燃費が悪い車は流行らない」という時代の流れでもあるのでしょう。走りに影響しない範囲で排気量を抑えることで「燃費が良くなり税金も安くなる」のであればその車種が気になるオーナーとしては嬉しい限りですね。

世帯で比較。ファミリー層と独身者ではオススメも変わってくる
基本的には「好きな車を好きに乗るべきだ」というのが個人的な意見ではありますが、やはり用途やイメージ、そして実用性を考えると「オススメでいえばどちら?」という問に対する答えは変わってきます。そう、たとえば女性側の意見一つとってもファミリー層と独身者では大きな違いがありますからね。
ファミリー層にはどちらが合う?
ファミリー層にオススメなのはミニバンです。
なぜなら「ファミリー向けに設計されているから」と一言で片付けてしまっては元も子もないのですが、やはりファミリー層の声を取り入れて進化しているジャンルだけあります。今どきママさんの圧倒的な支持を得ているスライドドアのような誰の目から見ても分かる違いだけでなく、性別や年代の違う方が乗ることを想定された細かい配慮がミニバンにはあります。
例えば、ファミリー層にとっては「荷室は広いほうが良い」というのは重要な要素でしょう。買い物したものを乗せるスペースの他、ベビーカーやアウトドア用品を乗せるスペースが有ることはとても大切です。ただ「荷室の広さで言えばエクストレイルだって広いよ?」と思う方もいるでしょう。ですが、荷室の広さはさて置き、荷室までの高さおよそ800mm(※)をどの様に感じるでしょうか?大人の男性だけならいざしらず、力の弱い子供や女性が腰の高さ以上まで荷を上げることは辛いと思います。
※全高1715mm-ラゲッジルームの高さ845mmで計算
一方、ファミリー向けに配慮されたヴォクシーはと言うと荷室までの高さは500mmとなっているので体感でかなりの違いを感じることでしょう。また、乗り降りに関しても同様のことがいえます。多くのミニバンは底床設計となっているためお子さんやご両親の乗り降りも楽になります。そして床が低く天井が高いということは室内の高さも確保されている事に繋がり、チャイルドシート設置など子供の世話をするにもその広さが快適性を生むことは間違いありません。
以上のことから「車は家族で乗るもの」という考えであるなら、やはりミニバンは細かい配慮がされたファミリー向けの車と言えるでしょう。そして家庭を持つ身としては自分の趣味趣向より家族の利便性を優先する方が多いのではないでしょうか?

独身におすすめなのは
独身にオススメなのはSUVです。
SUVといえばその車体の大きさを含め男性的なイメージが強い車です。独身者は「自分が使いこなせれば良い」というのが最大の利点なので、多少の乗り降りのしにくさなんて何の問題もありません。一方でSUVの中には「荷室の広さに不満がある」とうファミリー層の声もありますが、独身であればそんなの大した問題ではないでしょう。むしろ大人がゆったりと5人乗れる快適さと、シートアレンジによって用途に沿った荷物が載せられれば満足といえるのではないでしょうか。
また独身者、特に男性にとって魅力的な点として。「独身女性の評価が高い」という点が上げられます。一見「ミニバンの方が女性に人気があるのでは?」と思うかもしれませんがが、実はそれは「ママさんに人気」なのであって、「一般女性が男性に乗って欲しい車」にはSUVが上位にランクインするのです。外観や大きさ、見晴らしの良さと言った点で好きだという女性は意外と多い多いのです。但し「助手席に乗る分には・・・」です。女性はママとなり自分が運転するようになると意見が180度変わる事が多いので気をつけてくださいね。
走行性能、用途、趣味で比較
唐突ですが、あなたが車に求めるのはどんなことでしょう?「静かで落ち着いた運転ができる走行性能?」それとも「自分の趣味をサポートしてくれる空間と安定走行?」用途によって最適な車も変わって来るものです。
静かな走行、ゆったりとした運転が好きな方
落ち着いた走りにはミニバンのほうが理にかなっています。
車を運転するにあたって静かであることは疲れにも関わってくるので重要視する方も多いでしょう。また、乗り心地も良くゆったりした運転も理想とするところではないでしょうか?そういった点で言えば近年、ミニバンでは静粛性を強化した車種が多く登場していますし、最近の人気の高いモデルでは「長く乗っていても疲れない」と乗り心地にも定評があります。また予算に余裕が有るのであればL・LLクラスのミニバンを選択することで、より高い快適性を得られることでしょう。
一方でSUVはというと一部の高級メーカーやハリアー等の高級志向の車種を除き、本来力強い走りを追求しているジャンルであるため静粛性とは対極にあります。その為、車に快適性を求めるのであれば、どちらかと言えばミニバンのほうがオススメと言えます。また、ロードノイズ対策という点ではタイヤを変えることで抑えることができますので、意識をしたことがない方は注目してみるといいでしょう。
アウトドアが趣味、アグレッシブな走りにも対応したい方
アウトドア派にはどちらかと言えばSUVをオススメします。
アウトドアが好きな方の多くは必要な道具を楽に乗せられる積載力と力強い走りに魅力を感じる方が多いです。例えばスキー・スノーボードシーズンになれば毎週のようにゲレンデへ通う方にとって、人を乗せられる利点よりも地上高が高く4WDであることの方が利点は大きいでしょう。そして4WD性能だけで言えばSUVの方が本格的なシステムを搭載した車種が多いため、外観の好みなど選択肢が広がることに繋がります。
また、日本の道路事情で悪路と呼べる場所はそうそう無いものの、スキー場の駐車場や河原、そして砂浜等での走破性は高く安定感がありますので、アウトドアついでにちょっとしたアグレッシブな走りを体験したいのであれば、SUVが適していると言えるでしょう。
メリット・デメリットで比較
SUVがミニバンに勝っている点
SUVといえば良くも悪くも多目的車であることです。
確かに、ベビーシートへの乗せ降ろしや年老いたご両親の乗り降りと「乗せる人」に焦点を当てた場合には不便な所だらけです。ですが、「パパのクルマ好き」と子供は単純に大きな車を喜ぶことだってありますし、話題性や外観の迫力といった表向きな部分において満足度は高い車と言えます。
そして近年多発している水害や雪深い道では地上高の高さと4WDが合わさることで高い走破性と安定性を得られる等、生活悪路や趣味の道と性能面で大いに活躍できる車といえるのではないでしょうか。また、ファミリー感の漂うミニバンよりも趣味の車という位置づけで存在感をアピールできる点も魅力と言えるでしょう。

ミニバンがSUVに勝っている点
ちょっとした気遣いがミニバンの方が優れていると言えます。
ミニバンはファミリー向けに設計されているわけですが、スライドドアを筆頭に「乗口は低く広い」「車内は広く高さもある」と言った点はSUVには無い部分です。その他にも多種多様な選択肢がある点も大きいかもしれません。
小回りが効いて燃費の良いコンパクトミニバン。価格を抑えつつも広さと快適性のバランスが取れたMクラスミニバン。高さを抑えることで、安定性した走りが魅力のミニバン。そして快適性・高級感を兼ね備えたL・LLクラスのミニバン。などなど多人数を乗せられると言う利点に加え自分の用途・要望に合った車種を選べる点はSUVに勝っていると言えるでしょう。

ミニバンVSSUV比較まとめ
さて、様々な視点からミニバンとSUVを比較してきましたが、いかがでしたでしょう?この記事の初めにミニバンとSUVに対して使った「人を主体とした作り」と「車を主体とした作り」という表現も少しはしっくり来てくれたのではないかと思います。なので、ご自身が今「周りの人と自分のどちらを優先したい立場か?」を考えとおのずと答えは出てくるのではないでしょうか?
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
 
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