洗練されたデザインと高い技術力で日本のSUV市場を牽引する日産のエクストレイルと
独創的なメカニズムで欧米でも根強いファンも多いスバルのフォレスター。いずれも技術大国ニッポンを代表する世界戦略車です。今回はこの両車を徹底比較し、魅力を探ってみました。
目次
車両価格、月々のローン代金で比較

車というのは非常に高い買い物。安ければ安いほど嬉しいですが、機能や装備とのバランスも大切ですよね。
ここでは最初に、エクストレイルとフォレスターを価格で比較していきたいと思います。まず下の表をご覧ください。
エクストレイル | フォレスター | 価格差 | |
---|---|---|---|
価格 | 2,197,800円 | 2,419,200円 | 221,400円 |
3年ローン(月々) | 61,050円 | 67,200円 | 6,150円 |
5年ローン(月々) | 36,630円 | 40,320円 | 3,690円 |
両者エントリーモデルで比較するとその価格差はエクストレイルの方が約22万円高くなっています。
共に装備はマニュアルエアコン、4スピーカー等、簡素な装備です。
しかし、エクストレイルは前席シートがクイックコンフォートヒーターと呼ばれるものになっていて、効果的な温度配分にして体を即座に温めてくれます。
このような寒い冬に嬉しい標準装備は、22万円の差につながっているのではないでしょうか。
それにしても22万円という差は大きく、3年ローンで6,150円・5年ローンでは3,690円と月々の支払にも大きく影響しています。
この差がどのような部分なのか、これからじっくり見て行きましょう。

実燃費、ガソリン代金で比較
次は燃費の視点から比較していきましょう。
エクストレイル | フォレスター | |
---|---|---|
実燃費 | 13.14K/L | 14.69K/L |
月々のガソリン代金 | 9,132円 | 8,169 |
年間のガソリン代金 | 91,324円 | 81,688円 |
※ガソリン代金は120円で統一。月々1000km、年間1万km走行した場合の試算結果です。
月々のガソリン代の差額はフォレスターの方が963円お得な結果となっています。もちろん運転環境やオーナーの運転性格によって大きく変わりますので燃費に関しては、ほぼ同じと判断していただいて良いでしょう。
実燃費も大差なし。
エクストレイルの重量が1440Kg(2WD 2列シート)に対してフォレスターは1450Kg。重量から見ても殆ど差はありません。
エクストレイルはアイドリングストップ搭載の他、エクストロニックCVTにより摩擦抵抗損失の低減や、変速制御を改良した事により、「平成27年度燃費基準+10%」を達成。
フォレスターはエンジンの燃焼改善、CVT(スバルではリニアトロックと呼び、他社との差別化を図っています)により燃費性能を向上させ、同じく「平成27年度燃費基準+10%」を達成しています。
その他いずれもギアレンジ拡大、ショックアブソーバーなど各部の摩擦抵抗や振動を軽減させるなど、多くの改良を重ねてお互いに高燃費を達成しています。
さすがコツコツ勤勉な技術大国ニッポンのクルマ。世界で日本のクルマの人気が高い理由として燃費の良さが一番に上げられています。

エクステリアのデータ、口コミで比較

次にエクステリアで比較していきたいと思います。
エクストレイル | フォレスター | |
---|---|---|
全長 | 4,690mm | 4,610mm |
全幅 | 1,820mm | 1,795mm |
全高 | 1,740mm | 1,715mm |
全体的にフォレスターよりもエクストレイルの方が大きい車体となっています。しかしエクストレイルは比較的直線を生かしたデザインなので、ボンネットがやたら長いフォレスターの方が印象として大きく見えるでしょう。
このデザインは日本ではやや古めかしくも見えますが、欧米では非常に人気を集めているスタイルです。
対してエクストレイルはちょこんと突き出たノーズ(鼻)に鋭く吊り上がったヘッドライトでの顔立ちは戦闘ロボットを彷彿させますが、このデザインも日本はもちろん海外でもの若者中心に多くのファンを掴んでいます。
エクステリアの口コミで比較
車体価格、燃費共に甲乙つけがたい両車ですが、市場ではどのような評価を得ているでしょうか?実際に付き合って初めて相手の本当の魅力や本質が見えてくるのはクルマも恋愛も同じ。
そして周りの評価も気になるところ。実際に所有しているオーナーと第三者の目として評価する非オーナーと評価を集めてみました。「良きパートナー」をゲットするため参考にして下さい。
エクストレイル オーナーの口コミ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
とにかくカッコイイ | 購入半年後にキーレスでドアが開かなくなった |
先代より丸みを帯びて都会的 | エンジンストール、塗装の剥がれ等トラブルだらけ |
ルーフレール付は雪下ろしが大変 | 乗ってみると無駄にでかい |
立体感・重厚感のボディに満足 | バッテリーがへたるのが早すぎ |
2本出しマフラーは迫力! | ラジエターグリルがプラスティックで安っぽい |
エクストレイル 非オーナーの印象
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
SUVとは思えない街乗りのデザイン | 見た目がシンプルで面白みに欠ける |
エクストレイルだ!という個性はある | まあまあなデザイン |
現代的なデザイン。他のSUVよりカッコイイ | ホイールのデザインがかっこ悪すぎ |
フロントガラスの傾斜がありすぎで視界悪そう | 先代の方が個性豊かで良かった |
全長がグッとロングになり洗練されている | それぞれのパーツはカッコイイが全体でみるとアンバランス |
ルノーと共同開発した3代目のエクストレイルは先代のオフロードSUVとしてのデザインから大きく方向転換。
オンロード向きデザインとして、なだらかな曲線と先進的なデザインのブーメラン型ヘッドライトとスタイリッシュな「都会の似合う洗練されたクルマ」となり、タフで無骨な印象はすっかり影をひそめました。
その結果世間の意見は「カッコイイ」と「先代の方が良かった」ときれいに分かれています。
これは北米向けのローグと統合され(以前は別の車だった)世界戦略車として洗練された変身を遂げたとも言えますが、要は北米マーケット優先の考えと、部品が共有されコストダウンが図られたという事です。
その結果、道具として運転を楽しんでいた従来からのオーナーからは望んでいない変身をされ、その代わりファッションとしてSUVを所有する新しいファンを獲得したという流れが見えてきます。

フォレスター オーナーの口コミ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
武骨なスタイルはスポーティーで最高 | 実用性重視の平凡なデザイン |
古くささが良い | テールランプの形が昭和 |
購入の決め手はこのデザイン。他の近未来的なデザインは嫌 | 所有して日がたつとだんだんイカツク見えてくる |
スタイリッシュなデザインのクルマが多い中、これは新鮮 | 他車と比べ、華がない |
角ばっていてガンダムチックなデザインが良い。 | トヨタ・日産と比べるとどうしてもブランド力が劣って見える。 |
フォレスター 非オーナーの印象
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
正面から見た感じが最高に良い | 実物を見ると安っぽい |
ワイルドな感じが良い | 見た目が古くさい |
フォレスター伝統のデザインが継承されている | フロントマスクが威圧感ありすぎ |
窓枠とドア下部のメッキ加工が全体を引き締めている | 1世代昔の外観 |
アルミホイールのデザインがたまらなく良い | キャラクターが定まっていない。 |
オーナー、非オーナー共に評価はエクストレイルとは逆の評価を受けているのがわかります。
直線的でグリルやライトの形状もかつての乗用車に見られたひと昔前のデザインで、古くささを感じますね。
ただ、その分頑固さや男っぽさを感じさせ、多くの他社はSUVがハリアー化しているのに対し、正統派のオフロード仕様を貫いているイメージがあり、流行やファッションの一部としてSUVを選ぶ方々には不評のようです。
世の中の多くの男性がサロンに通って脱毛したりダイエットしたりして外観を磨いて中性化している中「てやんでぃ!男は中身だぜ」ってイキがっている昭和の「ザ・男」を彷彿させます。

インテリアのデータ、口コミで比較

次はインテリアに関する口コミを見て行きたいと思います。
エクストレイル | フォレスター | |
---|---|---|
室内長 | 2,005mm | 2,095mm |
室内幅 | 1,535mm | 1,540mm |
室内高 | 1,270mm | 1,280mm |
室内の寸法から見るとフォレスターの方が堂々たる広大な空間と言えます。外観に加え室内デザインも直線的な作りで窓も大きく、広いというよりはガランドウといった印象を与えます。

インテリアの口コミで比較
外観ではエクストレイルの現代的な印象。フォレスターの武骨でひと昔前を思わせる印象との意見が多い中、室内空間ではどのような評価をされているでしょうか見てみましょう。
エクストレイルのインテリア口コミ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
インパネのブラックとシルバーの組み合わせが高級感ある。 | 後部座席のアレンジが少ない |
防水シートはレジャーの時に重宝 | 収納が少なくて困る |
シートの座り心地がワンランク上 | SUVにシートヒーターは無用 |
スイッチ類がシンプルで良い | 3列目がせますぎ |
シートの材質は合成皮より上質 | プラ多用で貧弱 |
エクステリアの部分で述べたように、SUVに対するオーナーの趣向が「道具」から「ファッション」に変わってきていますので、やはり高級感にこだわる人が多いようです。
エクストレイルには3列シートの設定もありますが、フォレスターより9センチも短い室内長の中、3列目の居住空間はどんなものか想像に容易いと言えます。
空力特性を考慮して、ルーフも後ろに行くにつれ下方に傾斜しており(よく言えばなだらかな曲線美)3列目に乗ると天井は低い、窓は小さい、これで長距離ドライブに行くのは拷問です。
フォレスターのインテリア口コミ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
無駄な装飾なく実用的で良い | 他の車種と共通の造りでおもしろくない |
シンプルな造りで使いやすい | 他社と比べてチープである |
メーターがセルシオ並みの高照度 | 収納少なく手回り品を収納しきれない |
メーター周りにボタンが多くメカニズムを感じる | 第一印象として安っぽい |
視界は前後とも他社と比べ物にならないくらい良い | 後部座席は座面が少なく背もたれ薄く、疲れる。 |
全体として他社と比べチープであるとの評価が多いようですね。
比較的 座席位置が高いドライビングシートや、45度の角度で取り付けられているしっかりとしたドアグリップ。
全体の視界の良さに加え広い室内など、クルマをファッションではなく道具として楽しむ方であればフォレスターは十分に評価できる造りと言えますし、満足されているオーナーも多いです。
逆に「チープ」だと言って否定されている方は、室内のあちこちに革調シートを貼ったり木目シールを貼ったり、ゴテゴテの高級感(高級ではなく高級感)を演出した車種が好みで走りは二の次。
乗るクルマによって自分もファッショナブルに見られたい、走る「道具」ではなくオシャレの「道具」としてのクルマを求められている方と思えます。
運転の快適性、走行性で比較

ここまでくれば双方の性格がはっきりと分かれてきますが、中身はどうでしょう?長く付き合う事を考えれば外観や印象だけでは結論は出せません。楽しく走ってこそ魅力のあるクルマ。すなわち「名車」となり受け継がれます。
運転性能の口コミで比較
プロである評論家やカタログに記載している性能のアピールより、実際に街道を走り肌で感じている各オーナーの声を拾いました。
運転される方の性格やライフスタイルによっても評価は変わりますが多くの意見として参考にしていただければと思います。
エクストレイルの運転性能口コミ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
山道のロール少なく直進性も良い | 発進時、加速がわるくもどかしい |
エンジン音が静か | 車庫入れ時、ステアリングが軽すぎて怖い |
高速でもカーブですんなり曲がってくれる | エコモードは遅すぎてイライラする |
高速に入ってからの加速が素晴らしい | ゴツゴツした乗り心地で不快 |
ハンドリング良く運転がうまくなったように思える | 段差が続く道では振動がなかなか収まらない |
エクストレイルについては前述の通りパーツの共有化によりコストダウンが図られ、その分を内装や性能にコストをかけられている事により高性能化が図られています。
VDC(センサーが運転操作や車速などを検知し、自動的にブレーキ圧やエンジン出力を制御。
滑りやすい路面やコーナリングなどで横滑りを軽減する装置)やブレーキLSD(効果的な駆動トルク伝達を行い、乾いた路面と滑りやすい路面が混在する道での発進・加速性を向上させる装置)により悪路でもスムーズな走りを可能にしています。
さらに、アクティブライドコントロール(車体の上下の動きを予測し、エンジンとブレーキを制御。乗り心地を向上させる装置)等々、安全と快適を可能にする装置のデパートです。
特に4WD車は走りに合わせて自動的に前後の駆動輪に効果的にトルク配分を行い、コーナリングでは抜群の性能を発揮し「運転がうまくなった」ように思えます。さすがは「技術の日産」です。

フォレスターの運転性能口コミ
良い | 悪い・どちらでもない |
---|---|
パワー十分。ターボはいらない | 低速域でのCVTの挙動が悪い |
段差や曲がった時のリアクションが良い | 舗装の継ぎ目でも突き上げられる。固い。 |
足回りが良くカーブもすんなり曲がる | とにかく乗り心地が悪い |
雪道や悪路を走行すればイキイキと走る | 座席位置が高くよく揺れるので車酔いする |
雪道の下りでも安定した走行で安心 | アクセルを踏み込んでからの反応が遅い |
技術にかけてはスバルも負けていません。
アイサイト3と呼ばれる運転支援システムでは、2つ取り付けられたカメラで前方の車や障害物を検知。
障害物に対して自動で停止、前方の車に追従するクルーズコントロール、走行車線を認識しての運転サポート、危険な運転を察知し警報を鳴らしてくれる等々、安心・安全を最新技術で確実なものとしてくれています。
また走行性能もX-MODEと呼ばれる、悪路走行時にエンジンやトランスミッションを制御し、4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールし悪路突破を可能にする画期的な装置が装備されており日産に引けを取りません。

【エクストレイル VS フォレスター】比較結果まとめ
双方を比較すると性能面、質感については甲乙つけがたく、まぎれもない「名車」です。
ただ大きく違う点は「イメージ」と「シルエット」。先代の角ばったボディーで海外では売れ行きが芳しくなかったエクストレイルは見事に現代風に変身を遂げ、海外市場はもちろん日本市場でも大きな評価と売れ行きを見せています。
レジャー族にうれしい防水シートにシートアレンジ。雪道をも安心して走破できる最新技術は運転を趣味の世界へと誘うでしょう。
もちろん都会の街が似合うフォルムは高級ホテルの駐車場に停めてもすんなり馴染みます。豊かなライフスタイルを十分に満喫できるでしょう。
対してフォレスターについてはスバル伝統の「男っぽさ」「無骨さ」に溢れており、ファッション性を求めるユーザー、特にクルマの中にぬいぐるみやカーテンで過剰にデコってクルマと部屋を混合させて使っているメルヘン女子にとっては、彼氏が所有する事も否定するかもしれません。
しかしフォレスターに関してはSUVとしての高い走行性能と頑丈さ、メカニズムに溢れています。運転席に乗った瞬間、幼い時に見たロボットアニメの操縦席を思い起こさせるパワフルな印象なインパネは男心をくすぐります。
男性はいつまでたってもメカが好きな「男の子」なのです。口コミの中では「トヨタ・日産と比べれば三流企業」との酷評もありましたが、海外でもこのクルマは安全性、走行性能に関しては大変高い評価を得ています。
国内自動車メーカーでは最小の販売台数メーカーですが、販売台数だけでメーカーの価値を判断するのはナンセンスです。
販売台数はクルマそのものの他に企業のマーケティング力によるものが大きく、売れているからと言って「良いクルマ」とは限りません。
クルマの本来の楽しさは「走る」事。制限速度目いっぱいで走り抜ける時、乗用車では立ち往生するような雪道や悪路を走り抜ける時、このクルマを所有した喜びと満足感が十分に味わえると思います。
 
車の乗り換えで「ほとんどの方が損をしている」その盲点とは。
私はこの方法で毎回新車を30万円安く購入しています。覚えておいて損はありません。
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