スポーツカー然としたエッジの利いた緊張感のあるボディラインとデザインの、A5クーペのスポーツモデルS5クーペ。
アウディの精度の高い工作技術が感じられ、見るだけでテンションがあがりますね。アウディの技術面に惚れているファンは、熱狂することでしょう。
ゴリゴリのスポーツカーかのように見えるデザインから、気合を入れて乗る車かと思いきや……。S5がアウディの車たるゆえんとも言えるような、落ち着いた走りが感じられるんです。言わばビジュアル形スポーツクーペ。
そんなS5クーペの特徴や魅力を、これからじっくりと紹介しましょう。
アウディ S5 グレード表
グレード名 | 価格 |
---|---|
S5 Coupe | 9,130,000円 |
A5クーペと同じ単一グレードで勝負をしていて、価格は900万円を超える。A5クーペの価格が680万円と少しということを考えると、大幅に価格が上がりましたよね。
性能が上がってデザインも少し変わって、装備内容も異なる。230万円近い価格差の理由は、S5クーペの特徴を見ていけば、しっかり理解できるようになっています。
各グレードの特徴や違いを解説
S5はA5のスポーツモデルということで、一番気になるのは性能や走り心地でしょう。装備の違いも気になるところですが、それは一旦置いておいて、スポーツモデルの本分とも言える走りについて説明します。
Audi S5 Coupé
S5クーペはスポーツモデルということで、最高出力260kW、最大トルク500NmのV6エンジンが搭載されています。
特にトルクが大きいですが、この最大トルクは1,370~4,500rpmの間で発生するというかなりフラットトルクな特性を持っているんです。
性能を見ると期待が大きくなりますが、その期待を胸に抱いたまま乗ると、少し肩透かしを食らいます。スタートボタンを押してエンジンを始動させたときの音から、思っていたのとは少し違うと感じさせられるんです。
控えめな音で、窓を閉め切ると静粛性がとても高い。低速トルクが太いおかげで、すぐに60km/hに到達していきます。市街地で落ち着いた走りをする分には、パワーとレインの存在感が皆無に等しい。
パワーを感じずに、スピードが乗っていく感覚に、EV走行が頭に浮かびます。
高速道路で流れに沿って走っていても、音とパワー感が無いんですよ。
V6エンジンの性能を「落ち着いて優雅に走る」という一点に集中して注いでいる、といったところでしょうか。ステアリングも軽めで、取り回しやすく、まったく疲れを感じさせません。快適そのもので、無駄な体力を使わず運転できます。
ワインディングに入ってダイナミック・モードに切り替え、思い切りアクセルを踏むと――。
豹変する、ということもありません。上質でしっとりとした優雅な雰囲気を保ったまま、カウンターの針が6,500rpmというリミットの回転数を刻みこむ。
その数字に対して疑いすら持ってしまうほどに落ち着いているんですよ。でも、速度はしっかり上がっていきます。
高性能を活かした走りをしていることは確かですが、それを積極的にアピールしない奥ゆかしさ。懐が深い優雅で上品な走りに、思わず笑いがこぼれてしまいます。
V6エンジンで高性能と言うと、気負ってしまうんですが、S5クーペに気負いなんてまったく必要ありません。
降りるとき「もう一回ドライブしよう」と思えるほど疲れ知らずで、いつまでも乗っていたくなる快適さがある。
S5クーペのドライブの楽しみは、ガンガン攻めて走らせることにあるのではなく、誰かと談笑したり、ラジオや音楽を聴きながらまったりと時間を過ごすことにあります。
移動時間をラグジュアリーなものにしてくれる、「これぞ高級車」と言える走行感覚です。
装備を基準に各グレードの特徴を見てみる
S5クーペの走りが快適性に特化したものであるということを述べましたが、走りがそうであれば装備もそうであるべきですよね。装備も快適性に特化して安定感のあるものでなければ、車の方向性が定まっていないと感じてしまいます。
それでは、カタログから装備内容を一部抜粋して、S5クーペの装備がどのような設定になっているのかを見てみましょう。
http://www.audi.co.jp/dam/nemo/jp/catalogue/a5/my17/MY17_A5cc_DI_1702.pdf
S5 Coupeの標準装備
- マトリクスLEDヘッドライト
- ヘッドライトウォッシャー
- LEDリヤコンビネーションライト
- エクステリアミラーハウジング アルミニウム
- エクステリアミラー電動調整&格納機能 自動防眩機能 メモリー機能 ヒーター
- アルミホイール5スポークSデザインキオントラストグレーポリッシュト8.5J×19
- 235/35R19タイヤ
- アルカンターラレザーシート
- 電動調整機能(フロント)メモリー機能(ドライバーサイド)
- カーボンアトラスデコラティブパネル
- 3スポークマルチファンクション フラットボトムステアリングホイール
- Sステアリングホイールエンブレム
- ヘッドライニング ブラック
- ダンピングコントロール付Sスポーツサスペンション
- ダイナミックステアリング
- カラードブレーキキャリパーレッド(フロント・リヤ両方)
- アウディプレセンス ベーシック+シティ+リヤ
- アウディサイドアシスト
A5と異なる装備を挙げました。
ライトがLEDになったり、エクステリアパーツにアルミニウムが使われたりという部分はSモデルではお決まりですよね。
A5では全車バイキセノンヘッドライトでしたし、エクステリアミラーハウジングも通常のボディカラーという設定でした。実用にかかわる部分とそうでない部分の両方がレベルアップしているのは、嬉しいところですよね。
個人的には「アルカンターラレザー」がポイント高いです。
アルカンターラレザーは日本化学メーカーとイタリア企業との合同事業「アルカンターラ」が製造と販売を行う、人工皮革。車業界では、プレミアムブランドに多く採用されています。人工皮革の中では、最高級とも言える素材なんです。
アウディのアルカンターラレザーシートは、座面や背中などのシート面に飲みアルカンターラを使っています。サイドサイポートには、レザレットという人工皮革が使われるんです。
アルカンターラシートのメリットは、耐久性の高さと手入れのしやすさ。耐久性と通気性に優れ、燃えにくく熱も蓄えにくく、車のシート素材に最適なんですよ。だから、本革よりもメリットが多いと言えます。
S5の高い快適性の一因を、アルカンターラが担っているというわけですね。
また、アウディプレセンスベーシックとシティに加え、S5では「リヤ」も搭載されています。後方からの衝突の危険を警告し、シートベルトを締め上げ、ウインドウを閉め追突に備えてくれる。
後方の車両のドライバーにはハザードライトの点滅によって危険性を知らせ、事故を減らしてくれるんです。
A5から安全性がとても高い車でしたが、S5になって安全性がさらに向上しています。
性能と装備両方が「快適で安全な車」というひとつの方向に向かって作られていることが、よくわかりますね。
各グレードの評価 こんな方にオススメ!
S5は圧倒的にコンフォートな走行性能と、快適性の高い室内空間が特徴な車であることがわかりましたね。安全性も高く、実用性も高い。デザインも秀逸で、アウディらしさが詰まった車という印象が個人的にはあります。
そんなS5クーペの魅力をおさらいしながら、個人的に評価をしてみました。
グレード名 | 評価 | こんな人にオススメ |
---|---|---|
S5 Coupe | ☆☆☆☆ | どんな道でも疲れず、安定した走りができる優雅な車が欲しい方へ。 |
Audi S5 Coupéの評価
S5クーペはスポーツクーペでありながら、攻めた走りやイカツイ音などを期待して購入すると期待外れになってしまいます。ハイパフォーマンスな性能を思う存分自慢したい、ひけらかしたいという方はS5を選ばない方が良いでしょう。
それよりも、どんな道でも疲れることなく走れて、安全性と快適性が高い優雅な乗り物を欲している方にこそ選んで欲しい車です。アウディの車作りに惚れている、往年のアウディファンなら、間違いなく好きになるでしょう。
アウディ S5の総合評価
この車は、能ある鷹です。多くのスポーツカーに肩を並べあるだけの実力がありながらも、アウディの調整によってそれらを隠している。
高性能をアピールして派手な走りをしたり、コーナリング時の姿勢ばかり気にして足回りを硬くして快適性を失ったりすることは、全く無い。
何かを犠牲にしてスポーティな走りを手に入れる車が多いですが、アウディはS5でそれをしなかったんです。
快適性や安全性を犠牲にして得たスポーツ走行よりも、高いパフォーマンスを快適性や安全性などを高めることに使う道を選んだ。能ある鷹がつめを隠すことで、性能の高さや速さと快適性の共存を実現しました。
見た目はスポーティだけど、落ち着いた走りをするビジュアル系スポーツクーペ。
そして、高い性能を外でなく内側に向けた能ある鷹のような性格。
その両方が、S5クーペの全てではないでしょうか。
 
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