圧倒的に快適な普通に使えるコンパクトセダン、そして遊びのスポーツカー二つの特徴を併せ持つS3セダン。
清潔で隙がまったく無い洗練されたエクステリアには、お洒落に気を配りたい若者も惹きつけられること間違いなし。
S2セダンは、セダン=年配層という思い込みを取っ払うことのできる、幅広い年代にアピールする車なんです。
気持ちよく楽しいけれども、落ち着いた理性的な走り。ガンガン攻められる性能を持ちながら、攻めた走りをしていても、それを実感させないほど快適で理知的。
アウディの「セダンとは、コンパクトとはかくあるべき」を体言しているかのように感じられます。
そんなS3セダンの特徴や魅力を、解説しましょう。
アウディ S3 セダン グレード表
グレード名 | 価格 |
---|---|
S3 Sedan | 6,240,000円 |
ラインナップされたグレードは、ただひとつだけです。
40台限定で「S3 Sedan urban sport limited」が2016年に発売されましたが、販売台数が限られた限定車なのでここでは割愛します。2017年8月現在、中古車市場でもほとんど出回っていないでしょう。
念のため限定車の特徴を概要だけ紹介しますね。これは、専用マットブラックアルミホイール、ファインナッパレザーシート、Bang&Olufsenサウンドシステムなどが新たに搭載された「より洗練された雰囲気」を感じさせる車です。
性能などは変わらず、装備を追加・変更しています。
各グレードの特徴や違いを解説
基本グレードは単一で、強気の設定ですよね。S3 Sedanは単一グレードでいいと思わされるほど、良い車なんです。
性能や走りを見ても、装備を見ても、それがわかります。ひとまず装備は置いておくとして、まずはS3 Sedanの性能や走りを見てみましょう。
S3 Sedan
S3 Sedanには、2.0L直列4気筒ターボエンジンが搭載されています。その最高出力は213kW/5,400~6,500rpmで、最大トルクは380Nm/1,850~5,300rpmです。
性能を見るだけでも高いパフォーマンスを誇っていることを実感しますが、この車の良さは乗ってみて初めてわかります。
普通に走っている分にはA3より快適だと思えるほど、静かで快適な落ち着いたドライブができるんですよ。
足回りはA3より硬いものの、極めてコンフォートでA3よりも快適と感じられるというところが凄い。快適よりスポーティさを取ったような設定なんですけどね。
落ち着いた走りのクオリティはアウディこだわりのポイントなのでしょう。
踏み込むと、また凄いです。
アクセルを踏み込んでエンジンをガンガン回すと、ワクワクするようなサウンドを響かせてくれます。
足回りが地面にしっかり吸い付くような感覚で、速度を上げてスポーツドライビングを楽しみながらでも、quattro(4WD)由来の安定したコーナリングが可能です。
性能的にはガツガツした狼のような激しさを持っているんですが、実際走らせてみると気持ちが高ぶって攻撃的な走りをしたくなるというよりも、エンジンの気持ち良さを感じながら落ち着いて走りたくなるんですよ。
これはS3 Sedanの性格でしょうね。「セダンらしさ」をスポーツモデルでも忘れない心意気と、スポーツモデルだから楽しんでもらおうという遊び心の両方を持っています。
ガンガンにエンジンを回して攻めた走りをしていても、何故だか心は落ち着いていられるんですよ。
恐らく、これはquattroの恩恵でしょうね。
quattroをスポーツモデルに搭載し、オンロードでその力を発揮することで「安定性」が生まれます。
特にアウディのquattroはコーナリング時の安定性に優れていて、スポーツカーのようにガツガツ曲がっていくのでなく、上品でしなやかに曲がっていくんです。
だから安心できるし、落ち着いて走らせることができるんでしょう。
快適に普段使いできるセダンという性格と、圧倒的に高いパフォーマンスを活かしたスポーツカーらしい走りが出来るという性格の二つを併せ持つ二面性のある車ではありますが、それら二つの性格が「快適で上品である」という一点にまとまっているのがよくわかります。
方向性がしっかり定まっているので、乗っていて「どう運転すべきか」がわかりやすくて良いです。
装備を基準に各グレードの特徴を見てみる
性能と走りを見て、S3 Sedanは「快適なセダン」という一つの方向性の下で、スポーツ性能やコンフォート性能を高めている車だということがわかりました。
そこで、「快適」をキーワードとして、装備を基準にS3 Sedanの特徴を見てみましょう。
なお、装備はWEBカタログから一部抜粋しています。
http://www.audi.co.jp/dam/nemo/jp/catalogue/a3/my17/MY17_A3_DI_1702.pdf
全グレード共通標準装備
- LEDヘッドライト
- ヘッドライトウォッシャー
- LEDリヤコンビネーションライト ダイナミックターンインディケーター
- エクステリアミラーハウジング アルミニウムルック
- 5スポーツバンパー
- アルミホイール5パラレルスポークデザイン ポリッシュト8j×18
- 225/40R18タイヤ
- クロス/レザーシート(フロント スポーツシート)
- 電動調整機能(フロントシート)
- ランバーサポート4ウェイ(フロントシート)
- シートヒーター(フロント)
- デコラティブパネルマットブラッシュトアルミニウム
- パドルシフト(フラットボトムの3スポークレザーマルチファンクションステアリング)
- MMIナビゲーション
- アウディサウンドシステム(10スピーカー)
- プログレッシブステアリング
「快適」というキーワードから装備を語るなら、シートから語らないといけないでしょう。装備表を見ると、フロントシートの充実度が凄いですよね。
レザー素材のスポーツシートに4ウェイランバーサポートを装備して、電動で位置調整が出来る機能も搭載、シートヒーターまであるという……。
運転手の快適性をとことんまで追求しているのが、わかります。
スポーツ走行をするにはランバーサポートが無いと結構苦しいし、位置調整が出来ないと最適なシートポジションを取れず、思うように走らせることができない。スポーツ走行をする上での快適性が、シート周りに詰め込まれています。
運転手の快適性というところで言えば、プログレッシブステアリングも特筆すべきでしょう。
これはハンドル操作を楽にするための機能であり、これによって抜群の取り回しの良さが実現されます。
quattroや足回りの調整に加え、ステアリング操作量を減らす取り組みまでされているからこそ、アウディらしい取り回しの良さがハイレベルで実現されているということです。
また、スピーカー数の多いサウンドシステムを搭載するなど、乗員全員が楽しく快適に過ごせる仕組みまで整っているんです。主に運転手のことを考えたつくりになっていますが、乗客も切り捨てないというのはセダンらしさですよね。
スポーティな車と言えど、セダンは人を運ぶ車ですから、そこを忘れてはいけません。
各グレードの評価 こんな方にオススメ!
S3セダンの二面性を持ちながらも一つの方向性にまとまっているところが、アウディの魅力であり、この車の価値なのかもしれませんね。
装備や性能を見ていると、そう感じさせられます。ただ、この車の魅力は細かく語ればそれだけではありません。そんなS3 Sedanの魅力を、改めて評価してみました。
グレード名 | 評価 | こんな人にオススメ |
---|---|---|
S3 Sedan | ☆☆☆☆☆ | 圧倒的に快適で楽しいコンパクトセダンが欲しい方へ。 |
S3 Sedanの評価
S3 Sedanの良いところは、鋭く、速く、落ち着きがあるところです。圧倒的軽快感と俊敏性の高さによってスピードを出した速い走りが楽しめる。
そして、ハンドル操作の楽さに裏付けられた快適な運転感覚と、足回りの調整やquattroの恩恵による安定性の高さによって落ち着いた走りが楽しめる。
速くて軽い車を運転すると、落ち着かないと感じるのが普通です。速い車は重厚感を高めるべきであるという考えが、車好きの間では根付いています。実際、速度を出すなら重い感覚のほうが快適であることが多いんですよ。
ただ、S3 Sedanは軽いのに、落ち着いていて快適。
ハンドル操作や見た目など表面上はTシャツのようなラフさを感じるものの、足回りはカーゴパンツのようにガッチリとしているため、軽さを感じながらも安定したスポーツ走行ができるのでしょう。
硬い足回りを硬く感じさせない工夫が、嬉しく感じます。
ただ、重厚感のある気持ちが圧倒的に高ぶるような加速が楽しみたいなら、この車は合いません。
基本的には「快適なセダンが欲しい」という需要向けの車で、「出来ればスポーツ走行も楽しみたい」という人にこそぴったりハマル車なんです。
アウディ S3 セダンの総合評価
S3セダンのメインターゲットは、恐らく若者なのではないでしょうか。
昔からMT車やガッチリとしたスポーツセダンに馴染んだ世代の方にとっては、この車は少し物足りないかもしれません。
高性能モデルを気軽に捉えている車であり、重厚感より軽さを追求しているため、「いい車だけど何かが違う」と感じてしまうことでしょう。
ただ、若者的には「軽くて扱いやすく、落ち着いたスポーツモデル」というのは親しみやすいと思います。
日本の若者が車に求めるのは「軽さ」「快適さ」「実用性と扱いやすさ」で、スポーツ要素は「出来ればあって欲しい」という程度のものです。
S3セダンはスポーツ性能がとても高い車でありながら、表面上は凄くラフな車。若者が求めているスポーツモデル像に、当てはまるのではないでしょうか。
アウディは、幅広い世代をこの車のターゲットに含めつつ、各国の若者に対して「セダンに乗って欲しい」というメッセージを込めているのかもしれません。
初めて乗る高級セダンとして、とても完成度が高いです。
 
車の乗り換えで「ほとんどの方が損をしている」その盲点とは。
私はこの方法で毎回新車を30万円安く購入しています。覚えておいて損はありません。
コメントを残す