ドイツプレミアムブランド御三家の中でも知的でクールな印象のあるアウディ、そのエントリーモデルの一つがA1です。
価格的にはA1こそが真のエントリーモデルと言えるでしょうが、Sportbackの方が相応しいという声もあるんですよねえ。両方A1の名を冠する似たもの同士なので、両方ともエントリーモデルということで良いでしょう。
そんなA1の最も分かりやすい特徴は、小さいということ。ボディサイズからエンジンサイズに至るまで、アウディの中で一番小さい車なんです。
車で「小さい」というと良くないイメージかもしれませんが、A1は小さいことは賢いことだ、小さいことは良きことだと思わせてくれる実力を持っています。
どれほどの実力なのか、グレードごとに紹介しましょう。
アウディ A1 グレード表
グレード名 | 価格 |
---|---|
1.0TFSI | 2,490,000円 |
1.0TFSI Sport | 2,650,000円 |
1.4TFSI cylinder ondemand sport | 3,290,000円 |
アウディA1のグレードは三つで、その最低価格と最高価格の差は80万円です。グレード名を見れば想像できるように、1.4TFSIだけは動力性能が異なります。
価格を見ると、1.0TFSI Sportと1.4TFSIの価格差が1.0TFSIとに比べて明らかに大きいですよね。これはエンジンが異なるためです。
それでは、どれほど異なるのかをこれから見ていきましょう。
各グレードの特徴や違いを解説
各グレードで価格が異なるように、エンジンや装備など様々な部分に違いが現れてきます。
1.0TFSIと1.0TFSI Sportの違いは装備を見れば一目瞭然、そして1.0TFSIと1.4TFSIの違いはエンジンを見れば一目瞭然……。
どちらも気になりますが、まずは性能をメインに各グレードの概要を語りたいと思います。
1.0 TFSI
1.0TFSIに搭載されているのは、直列3気筒ターボエンジンです。その最高出力は70kW/5,000~5,500rpmで、最大トルクは160Nm/1,500~3,500rpmとなっています。3気筒エンジンとしては、とてもパワフルですよねえ。
小さな車に小さなエンジン、一昔前だと「バイクにでも搭載させるのか?」と小バカにされていたかもしれません。ただ、そんな批判は最早的外れと言わざるを得ないでしょう。
発進してすぐに太いトルク感が下のほうから沸きあがってくるのを感じることができ、クールで快適なドライブができる。
室内静粛性が圧倒的に高く、思わず眠ってしまいそうになるようなラグジュアリーな走行感覚に酔いしれてしまいます。
高速道路で加速してみると、合流も過不足無しにこなしてくれるし、決してドッカンターボではない加速感覚を味わうことが可能です。
この加速感が、少し独特なんですよね。低速から一気に速度が上がるというのでなく、とてもナチュラルな加速感。
それでいてモタついているとは感じさせないような、やさしい加速なんです。
中速を超えると、気づいたら驚くような速度になっているという粘り強さも魅力的。低速から中速は優しく粘り強く、中速以降はグワッと一気に加速していく独特な感覚……。
とてもユニークで面白いです。国産コンパクトでは味わえないでしょうね、この感覚は。
超・癒し系エンジンです。
1.0 TFSI Sport
1.0TFSI Sportはエンジン性能は1.0TFSIと同じですが、スポーツシートやスポーツサスペンションを搭載するなど、見た目・足回りがスポーティになりました。
それだけ伝えると、なんか地味な変化だなと思われるかもしれませんが、店頭で1.0TFSIとこのグレードが並んでいたら、違いは一目瞭然で、恐らくこのグレードが欲しくなると思いますよ。
それだけ、断然カッコ良くなっているんです。
1.4 TFSI Cylinder on Demand Sport
出力向上と省エネの二つを叶えたい! そんな我がままとも言えるような要望を叶えているのが、このグレードです。
最高出力110kW/5,000~6,000rpm、最大トルク250Nm/1,500~3,500rpmの1.4L4気筒ターボエンジンを搭載。それでいて、JC08燃費は21.1km/L!
1.0TFSIのJC08燃費が22.9km/Lであることを考えると、出力向上・低燃費両方を叶えていると言えますよね。
その秘密が気筒休止技術「Cylinder on Demand」なんです。このシステムが、加速せず巡航運転しているときなど、エンジン負荷が小さいとき、4気筒ある内の内側2気筒を自動停止させます。
結果、その間中の燃費が抑えられるというわけですね。
加速したいときに4気筒全部を活躍させ、安定しているときは半分の気筒で燃費を抑える。その結果として総合出力は向上、総合的に燃費も節約できています。ただ、運転方法によって燃費が大幅に変わるでしょうね。
また、1.4Lエンジンの性能もとても良いです。
1.0TFSiが癒し系だとすると、1.4TFSIは賑やかな盛り上げ役。
踏み込んだ瞬間に「加速するぞ」という感覚が体全体に伝わり、ドライバーのテンションを上げてくれます。気持ちの良いエンジン音で盛り上げながら、その音と同期するかのように加速する感覚を味わうのは本当に気持ちが良いですよ。
低回転では、ひたすらに快適で楽で静粛性の高いラグジュアリーな空間を演出。エンジンを思い切り回せばワクワクするような加速を楽しむことができて、気筒休止システム利用時でも特に出力不足を感じることなく燃費を抑えられます。
とてもハイクオリティなグレードです。価格が群を抜いて高いのにも、納得できます。
装備を基準に各グレードの特徴を見てみる
性能をメインに各グレードの概要を語ってきましたが、どのグレードにもそのグレードの個性があっても面白いですよね。
3気筒だからダメだとか、4気筒だから良いとかいうことでもなく、それぞれに魅力があります。みんな違って、みんないいとは良く言ったものです。
今度は、そんな個性的なグレードたちの装備に着目して、各グレードの特徴を見ていきましょう。
なお、装備内容はWEBカタログより一部抜粋しております。
http://www.audi.co.jp/dam/nemo/jp/catalogue/a1/my17/MY17_A1_DI_1703.pdf
全グレード共通標準装備
- ハロゲンヘッドライト
- ヘッドライトレンジコントロール
- リヤフォグライト
- 高さ調整機能(運転席/助手席)
- 可倒式リヤシート
- リヤヘッドレスト
- チルト/テレスコピックステアリングコラム
- ハンズフリー(Bluetooth)
- アウディミュージックインターフェイス(AMI)
- 8スピーカー
- DIS(ドライバーインフォメーションシステム)
- 音声認識システム
- 標準ヘッドライニング
- サーボトロニック
- ディスクブレーキ(フロント・リヤ)
- スタートストップシステム
- サイドエアバッグ(フロント)サイドガード(フロント/リヤヘッドエアバッグ)
シンプルでありながらも「良いものだ」と感じさせるのが上手な装備設定だと、全グレード標準装備を見る度に感心させられます。
高さ調整機能やリヤヘッドレストなどの当たり前のように搭載して欲しい装備を基本的には揃えているんですが、その中にハンズフリーや独自のミュージックインターフェイスなどプラスアルファの装備を加えているんです。
そういった装備が随所にちりばめられているからこそ、シンプルでありながら「質素」だと感じさせられません。それどころかアウディらしい良い室内だと思わされたり、機能的だと頷かされるんです。
また、個人的にはスタートストップシステムとサーボトロニック(電動パワーステアリング)が気になりますね。
高級車でスタートストップシステム(アイドリングストップ)を搭載させるというのには、驚く方も多いと思います。
賛否両論ありはしますが、アウディA1の「基本快適で、面白くもなる」という性質上はこういう燃費向上のためのシステムがあっても良いでしょう。評価されるべきとも言えるかもしれません。
Cylinder on demandの存在もありますし、出力を抑えずに燃費を抑えようとする取り組みの一環としてみなすべきですね。
電動パワーステアリングについては、アウディA1の扱いやすさを実現するのに一役買っています。
この車はとにかく扱いやすく、素直に曲がってくれるんですが、その軽がると曲がるコーナリング性能は電動パワーステアリングの恩恵です。
元々ダウンサイジング志向で軽い車ではありますが、車体が軽いだけでは扱いやすいとは言えませんからね。
1.0 TFSIとSportの装備、特徴、異なる点
1.0TFSI | 1.0TFSI Sport |
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1.0TFSI Sportの方が、見るからにカッコよさそうですよね。アルミニウムルックインテリアで質感を高め、男心くすぐるメカニック感を演出し、スポーツシートでわかりやすくスポーティさを演出。
エクゾーストテールパイプもハイグロス仕様でよりカッコ良くスポーティに。
男の思う「かっこよさ」と「スポーティさ」を出来るだけ変更点を抑えながらも演出しているのが、良くわかります。
また、スポーツシートを搭載するだけでなく、そこにランバーサポートも付けたところを個人的には評価したいですね。
スポーツシートは単体でもホールド力が高いですが、そこにランバーサポートを付けることでドライバーが楽になり、ホールド力もアップします。スポーツシートを搭載するなら、ランバーサポートは断然あったほうが良いんです。
1.4 TFSI Cylinder on Demand Sport装備、特徴、異なる点
- LEDリヤコンビネーションライト
- エクステリアミラーハウジング ボディカラー
- パドルシフト
- オートエアコン
- LEDインテリアライティングパッケージ
- アウディドライブセレクト
- アドバンストキーシステム
1.4TFSIのみの装備を挙げました。
特筆すべきは「アウディドライブセレクト」の搭載でしょうか。よくある、走行モードを選択できる機能ですね。よくある機能ではありますが、アウディA1では1.4TFSIにしか搭載されません。
1.0TFSIはモード選択無しの、自然な流れに任せた走行感覚のみを楽しむことができます。
1.4TFSIは「コンフォート」「オート」「ダイナミック」「EFFICIENCY」の四つからモードを選択して、走行状況や好みに応じた走行感覚を味わうことが可能です。
市街地で快適に静かなドライブを楽しみたいならコンフォート、郊外や高速道路で思い切り加速を楽しみたいならダイナミック、燃費重視ならEFFICIENCY……といった具合ですね。
特に1.4TFSIはCylinder on demandの存在もあり、EFFICIENCYモードの存在意義が大きいかもしれません。
各グレードの評価 こんな方にオススメ!
性能・装備の両方を見ると、各グレードの個性がよりクッキリと浮かび上がってきますよね。
シンプルで快適な1.0TFSI、シンプルながらもカッコ良くなった1.0TFSI Sport、より便利で楽しくなった1.4TFSI……。それぞれに魅力があって、どんな人にオススメしたいのかも変わってくるでしょう。
そんな「このグレードはこんな方にこそオススメ!」ということを、独断と偏見で語りたいと思います。
グレード名 | 評価 | こんな人にオススメ |
---|---|---|
1.0TFSI | ☆☆☆☆ | 軽快でユニークな走りを楽しみたい方へ。 |
1.0TFSI Sport | ☆☆☆☆☆ | 若干スポーティになった走りと見た目を楽しみたい方へ。 |
1.4TFSI Cylinder on demand | ☆☆☆☆ | 高出力・省エネ両方のを実現したい方へ。 |
1.0 TFSIの評価
1.0TFSIの魅力は、価格と性能です。アウディが250万円程度で手に入るというのは、それだけで魅力的ですよねえ。ただ、安いからというだけで選ぶにはもったいない。
軽快で快適な走り心地、走行性能こそが1.0TFSIの真の魅力であり、価値である。価格と性能のバランスも非常に素晴らしく、そういったところに目を向けて選んで欲しいグレードですね。
また、基本的にどんな方でも満足できる車なのではないかと思います。
1.0 TFSI Sportの評価
このグレードの魅力というのは、スポーツサスペンションによってスポーツ性能が若干増して、見た目もスポーティでカッコ良くなったところにあります。
3気筒ターボにスポーツサスペンションをつける必要があるのかということについては議論をしたところで出る意見は目に見えていますし、そもそも6気筒などのハイパフォーマンスモデルとはスポーツサスペンションの役割も変わってくるでしょう。
A1 1.0TFSI Sportにおけるスポーツサスペンションの役割は、ワクワクする走りを生み出すことです。
1.0TFSIは粘り強くユニークな加速特性を持っていて、3気筒とは思えないほどに加速性能も高いですが、コーナリング時はやはり安定志向が強い。
そこにスポーツサスペンションというエッセンスを足してやることで、ワクワクが生まれています。
このどうしようもなくワクワクする、曲がる楽しさというのは一度試乗しないとわからないかもしれませんね。
1.4 TFSI Cylinder on Demand Sportの評価
スポーツサスペンションの持つ意味が1.0TFSI Sportより重くなってくるのが、1.4TFSIです。性能の高い4気筒エンジンは、音も加速感も3気筒とは全然違います。
これでこそ「スポーティ」です。そう言えるほどの性能を誇る1.4TFSIにスポーツサスペンションを搭載するということは、それはもうガンガン加速してやってくださいということでしょう。
スポーツ走行とまではいかなくとも、スポーティな走行を楽しめるということです。
そう考えるだけで心が踊りますよね。
また、高出力と省エネを両立させるシステムも魅力的。そのシステムが気になるから1.4TFSIを購入するという思い切った購入方法も、良いかもしれませんねえ。
アウディ A1の総合評価
アウディA1は、アウディのエントリーモデルと言うに相応しい車です。
シンプルで低価格でありながらも、随所に「良い車」という実感を植えつけることによって「アウディを所有している」という喜びが感じられます。
本体価格250万円からこの喜びが手に入るということにこそ、A1のエントリーモデルとしての価値があると言えるでしょう。
また、価格が低いだけでなく性能も高いです。3気筒でこれだけの性能を誇る車というのも、珍しいのではないでしょうか。
特にドイツプレミアムブランドで3気筒というと、あまり良いイメージがありませんよね。そのイメージを払拭できるだけのポテンシャルが、A1にはあります。
それに、個人的には、ダウンサイジングされたコンパクトカーでありながら、工業製品としてのクオリティがとても高いと感じる点も、評価したいです。
「どこに」と問われたら困るものの、確かにキュンとくる何かを持っている車だと思います。
 
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