X3と多くの部分を共有しながらも、X3よりもスポーティに仕上げた車が、X4です。
BMWらしさとも言えるスポーティさを、X1やX3よりもわかりやすく強調しています。たとえば、重心を低くスポーティに見せるため、車の上半身を小さくしていて、デザイン的にもそれがわかるんです。
車を上半身・下半身に分解したとき、上が小さいほうが重心が低く見えますからね。
SUVは数多く市場に出回っていて人気もありますが、これほどスポーティなデザインをストレートに表現している車は案外少ないです。
ただ、ラゲージルームが若干割り切られていて、アウトドア用品等の大きな荷物を収納するのは少々困難なところがあります。
けれども、X3と変わらないほどの後部座席の居住性を誇っていて、スポーティデザインとは思えないほどに快適なんですよ。
そんなBMW X4には他にもたくさんの魅力があるので、グレードごとに紹介していきましょう。
Xシリーズ X4 グレード表
グレード名 | 価格 |
---|---|
X4 xDrive28i | 7,260,000円 |
X4 xDrive28i M Sport | 7,580,000円 |
X4 xDrive35i | 8,200,000円 |
X4 xDrive35i M Sport | 8,470,000円 |
X4 M40i | 8,930,000円 |
X4には全部で五つのグレードがあり、その最低価格と最高価格の差は約170万円です。BMW全体としては小さめの価格差ですが、Xシリーズだけで考えると他とあまり変わりません。ただ、X3と比べるとグレード数が少ないです。
五つのグレードを大きく分けると「28i」「35i」「M40i」三種類になり、M40i以外に通常とは異なる内外装のM Sportが用意されています。
これら三つのグレードは性能ごとに分かれていて、X3では四種類の動力性能のグレードが用意されていました。
さらに「xDrive」というM Sportとは違った内外装のグレードもあったのですが、X4にはそれがありません。
その分グレードが少なくなって選択肢が狭くなっています。
各グレードの特徴や違いを解説
X4のグレードは全部で五つ、大きく分けて三つとわかりやすく設定されています。
これだけ単純だと、性能と装備の二つを基準に特徴を見ていくだけでも、それぞれの魅力を掘り下げることができるでしょう。まずは性能から、見ていきます。
X4 xDrive28i/ M Sport
28iは、直列4気筒DOHCエンジンを搭載したグレードです。その最高出力は180kW/5,000rpm、最大トルクは350Nm/1,2504,800rpmとなっています。
トルクの大きさが目を引きますが、28iで一番特筆すべきなのはエンジンの回転感覚が6気筒に引けを取らないことです。
4気筒エンジンでは、エンジンが回転する際にザラつきを感じる車が多いんですよ。28iには、それが全く感じられない。エンジン回転とそれに伴う加速感覚のスムーズさは極上の域に達していて、運転していてとても楽しく、楽です。
高速道路を巡航しているだけなら、アクセルペダルを踏み込む必要はありません。軽く足を乗せるだけで、巡航速度にまで達します。
これは低回転から350Nmという大きなトルクを発揮できるということと、先述した回転感覚のスムーズさの恩恵ですね。
深く踏み込むと、鋭い加速をしてくれる。
市街地走行は、言うまでもありません。
大きなパワーとスムーズに回るエンジンの安定感で、ゆったりとした巡航を楽しむも良し。エンジンの出力とトルクをフルに活かして、鋭い加速を楽しんでスピードに乗るのも良し。まさに、クロスオーバーSUVと言うにふさわしい車です。
X4 xDrive35i/ M Sport
35iは、直列6気筒DOHCエンジンを搭載したグレードです。その最高出力は225kW/5,800rpm、最大トルクは400Nm/1,250~5,000rpmとなっています。
4気筒でも6気筒並みの走行感覚を味わえたのですが、6気筒はそれよりも上の感覚を味わうことができるんです。
確かに、28iはスピードマニアでもない限り、不満を感じることはないくらい完成度が高い。
けれども、フル加速をしたときの少し怖いと感じるような圧倒的な加速力、一本太い芯が入ったようにブレないエンジンの回転感覚や加速感覚、そして体全体に伝わる駆動力の濃厚さは4気筒では味わえません。
「ボウゥンッ!」
気持ちの良い爆発音を響かせながらエンジンが始動。
車が起き上がる演出が古典的でありながらも大迫力で、ドライバーの意欲を高めてくれる。アクセルに足を乗せるだけで、体中を太いトルク感が包み込み、車の鼓動や息遣いが感じられます。
アクセルを踏み込めば、エンジンがうなり声をあげながら思い切り加速していく。水を得た魚のように、車自身が走りを楽しんでいるかのようにスピードを上げていくんです。
この圧倒的なパワーやダイナミックさは、35i以上でないと味わえません。
X4 xDriveM40i
M40iは、最高出力265kW/5,800rpm、最大トルク465Nm/1,350~5,250rpmの直列6気筒エンジンを搭載したグレードです。BMWを知っている方は名前から想像できるとおり、「M」の系譜を受け継ぐ仲間のうちのひとつと言えます。
アダプティブMサスペンションという専用サスを搭載し、20インチMライト・アロイホイールを履くなど装備周りも変更されているんです。
M Sportと同じような装備が多いんですよね。そもそもM Sport自体が「Mの名が付けられたグレードやモデル」から、内外装のコンセプトを引っ張ってきたものですからね。
さて、肝心の走行感覚ですが、明らかに35iよりもスポーティになっています。
足回りの調整が絶妙にされているからか、走り心地は高性能スポーツカーそのものです。アクセルを踏み込むと、思わず声を出してしまいたくなるような大きなパワーが生じ、それでいて洗練された走行感覚という印象を受けます。
足回りすべての調整の足並みが揃っていて、ダイナミックなのに上品なんです。
ただ、加速感覚はとてもワイルド。
スポーツモードに切り替えると、エンジンの回転数が一気に跳ね上がってアクセルレスポンスが鋭くなります。
専用デュアルエキゾーストシステムがバババッ! と火を噴くような排気音を出して周囲を威嚇しながら、ドライバーのテンションは絶好調に。テンションと同時にスピードもグイグイ伸びていきます。
スピードマニアでも、よほどのスピード狂でない限りは満足できるでしょう。
装備を基準に各グレードの特徴を見てみる
性能を基準としてグレードの特徴を見てきましたが、どれもSUVとして、そしてBMWとして満足できるほどの性能がありますよね。
28iは足回りの機敏さが売りで、35iはパワーが売り、M40iは圧倒的スポーツ性能が売りと、それぞれのグレードに違う魅力があるのが良いところです。
後は通常グレードとM Sportとでどんな装備の違いがあるのか、M40iの装備はどうなっているのかが気になりますよね。今度はそこを基準にして、各グレードの特徴を見ていきましょう。
なお、装備内容はBMWのWEBページやWEBカタログから抜粋しています。
https://www.bmw.co.jp/ja/footer/contact/brochure.html
全グレード共通標準装備
- バリアブル・スポーツ・ステアリング
- パフォーマンス・コントロール
- ダイナミック・ダンピング・コントロール
- ドライビング・パフォーマンス・コントロール
- BMWヘッドアップ・ディスプレイ
- ドライビング・アシスト/ドライビング・アシスト・プラス
- HDDナビゲーション・システム
- iDriveコントローラー
- カメラ・システム
- コンフォート・アクセス(スマート・オープン/クローズ機能付)
- 40:20:40分割可倒式リヤ・シート
- コースティング機能
- ACC/アクティブ・クルーズ・コントロール
- ECO PROルート
- エンジン・オート・スタート/ストップ機能
- 電動パワー・ステアリング
- ブレーキ・エネルギー回生システム
M4はスポーティさが大事にされているからか、バリアブル・スポーツ・ステアリングが標準搭載されているのが特徴的です。
サーボトロニック(電動パワーステアリング)も搭載していて、少ないステアリング操作でダイレクトなハンドリングをすることができます。ステアリングの操作感覚は若干重いのが特徴です。
ステアリングを大きく切り込んでいくときには、前輪の切れ角が大きくなるためにコーナーでの俊敏性が高くなります。
駐車時の取り回しも楽になるし、バリアブル・スポーツ・ステアリングはとにかくハンドリングの安定性を高めるのに重要な装備なんです。
また、ドライビング・パフォーマンス・コントロールのECO PROモードに付随した機能として、燃料消費を抑えられるルートを表示する機能など、燃費効率の追求もしっかり行われています。
シートを折りたたんでのラゲージルームの拡張も可能などなど、日本の車市場で需要が高い仕様が多いです。
それだけでなく、ヘッドアップディスプレイなどの先進装備も豊富で、装備が充実しています。
M Sport装備
- ドア・シル・プレート(Mロゴ付)
- スポーツ・シート(運転席&助手席)
- ネバダ・レザー・シート
- ブラッシュド・アルミ・インテリア・トリム
- BMW Individualアンソラジット・ルーフ・ライニング
- マルチファンクションMスポーツ・レザー・ステアリングホイール
- シフト・パドル
- ステンレス・スチール製ラゲージ・ルーム・シル・プレート
- M Sport専用リモート・コントロール・キー
- 19インチMライト・アロイ・ホイール・ダブルスポーク・スタイリング622M
- (フロント)8.5J×19ホイール、245/45R19タイヤ
- (リヤ)9.5J×19ホイール、275/40R19タイヤ(ランフラット・タイヤ/サマー・タイヤ)
- Mエアロダイナミクス・パッケージ
- BMW Individualハイグロス・シャドー・ライン・エクステリア
- Mエクステリア・バッジ
- スポーツ・サスペンション
M Sportにも、M40iのものとは違うスポーツ・サスペンションが搭載されます。Mスポーツサスペンションほどではないですが、これで足回りがガッチリ固まるでしょう。
通常サスペンションの足回りはやや硬めではありますが、市街地や高速道路での巡航を主目的として設定されているため、ガッチリとはしていません。
スポーツ・サスペンションは、巡航メインでありながらも比重を若干スポーツ走行に傾けたような調整となっています。簡単に言うと、通常サスペンションとMスポーツサスペンションの中間を取った形ですね。
X4 xDriveM40i装備
- ツイン・エキゾースト・テールパイプ(ブラック・クローム仕上げ)
- デュアル・フロー・スポーツ・エキゾースト・システム
- Mエアロダイナミクス・パッケージ
- 20インチMライト・アロイ・ホイール・ダブルスポーク・スタイリング680M
- ミシュラン・スーパー・スポーツ・タイヤ
- スポーツ・シート
- ブラッシュド・アルミ・トリム
- マルチファンクションMスポーツ・レザー・ステアリング・ホイール
- アダプティブ・Mスポーツ・サスペンション
M Sportとほとんど装備は共通していると思いますが、日本BMWのページやカタログに特に明記されておらず判断できないため、明記されている装備のみを挙げています。M Sportとの共通点も見られますが、違いも随所に見られますよね。
たとえば、20インチのホイールです。それに、ミシュラン・スーパー・スポーツ・タイヤもM40iにしか装備されません。
このタイヤのグリップ性がとても良く、20インチの薄い幅広タイヤの弱点である乗り心地の微妙な悪さをカバーしてくれています。
サスペンションやエキゾーストシステムは性能を語る際に述べたとおりで、M40iのスポーティな走りと走りの楽しさを支えている大事な装備です。
このような様々な装備が大なり小なり、スポーツ性や走る楽しさに繋がってM40iは成り立っているわけですね。
各グレードの評価 こんな方にオススメ!
価格・性能・装備とX4各グレードの特徴を見てきましたが、それらと冒頭に述べたX4の特徴を合わせると、それぞれのグレードの魅力というものが浮き上がってきます。
それを感じている方も多いでしょうが、個人的にどんなところが各グレードの魅力だと思うのかを、どんな人にオススメしたいのかということと併せて紹介しましょう。
グレード数 | 評価 | こんな人にオススメ |
---|---|---|
X4 xDrive28i/M Sport | ☆☆☆☆ | フットワークの軽い車が欲しい方へ。 |
X4 xDrive35i/M Sport | ☆☆☆☆☆ | パワフルでスポーティな車が欲しい方へ。 |
X4 xDriveM40i | ☆☆☆ | スポーツ性能を追求したい方へ。 |
X4 xDrive28i/ M Sportの評価
エンジンパワーだけを考えるなら35iのほうが優位に立っているんですが、28iは35iよりもフットワークが軽く俊敏で扱いやすいです。
とてもキビキビとしたコーナリングを体感でき、それでいて十分満足できるほどのエンジンパワーを誇っている面白い車と言えましょう。
急カーブが連続するような道だと、本当に活き活きとしてくれます。SUVだとは思えないほどのスポーティな走りで、とても気持ちがいいんです。
バリアブル・スポーツ・ステアリングと28iのエンジン特性が合わさった結果、俊敏な印象になっているんでしょう。
X4 xDrive35i/ M Sportの評価
35iは俊敏性やコーナリング時の安定感で28iに負けはするものの、このパワフルでダイナミックな加速感覚や走る楽しさは28iでは味わえません。
そういう意味で、35iには大きな価値があります。そして、X4という車のキャラクターに一番合うのが35iだと個人的には感じているんです。
X4はX3やX1よりも「スポーティであること」に重きを置いています。それが端的に現れているのが、冒頭で説明した上半身が小さいクーペ的なデザインです。
そんな車だからこそ、エンジンはパワフルでワイルド、それでいて上品でなくてはならないと思います。
それが一番よく表現されているのが、35iなんです。
X4 xDriveM40iの評価
M40iは35iよりもダイナミックな走りが楽しめるんですが、少しスポーツ性に重点を置きすぎているという気がします。
SUVを超えた走り心地であることや、SUVの枠を超えた走行性能・加速性能であることは認めますが、足回りの設定などがSUVを超えすぎたんです。
スポーツ性を高めすぎて、SUVという特徴の存在意義を失っています。スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルとは言いますが、その実態はスポーティな多目的利用車です。
メインになるのは市街地や高速道路での安定したクルーズであり、スポーツ走行メインではありません。
確かにX4はスポーティであることに重点を置いていますが、それは「スポーティ」であって「スポーツ性」とは微妙に異なると個人的には解釈しています。スポーツ車のような雰囲気を感じるのがスポーティであり、SUVである。
M40iはサスペンションの設定などをスポーツ走行重視にするあまり、普段使いでの快適性が他グレードより劣るように感じられます。
自動車としての全体的なクオリティは高いですが、SUVとしては35iのほうが総合的にハイクオリティと言えるのではないでしょうか。
Xシリーズ X4の総合評価
X4は、実用性六割・スポーツ性四割という比率で構成されているように個人的には思います。X1とX3は実用性七割・スポーツ性三割程度でしょうか。
この一割の違いによって、X4のデザインがクーペ寄りなものとなり、グレード設定から20iや20dが外れ、バリアブル・スポーツ・ステアリングを標準搭載としたのです。
そして、M40iの存在を生んだ。
X3と多くのコンポーネントを共有して、エンジンも変わらないのに印象がこれほどまで変わるというのは車の面白さですよね。
装備とデザインを少し変えるだけでも、全然違う車のように感じられます。X3は快適性と機能性重視の車で、X4は、普段使いの快適性を重視しながらもスポーティな車を欲している人のための車です。
全体的に「実用性第一主義」と言えるようなXシリーズの中で、こういった違いがあるとユーザーとしては選びがいがありますよね。
 
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